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首都大学リポート

「ドラフト1位でプロに行くこと」を目指す日体大・箱山優が矢澤宏太から引き継いだものとは?/首都大学リポート

 

今秋リーグ戦でデビュー


今秋にデビューした日体大・箱山は救援としてフル回転。自責点0でシーズンを終えた


【10月22日】一部リーグ戦
日体大4−1桜美林大(延長11回)
(日体大2勝1敗)

 首都大学リーグ第8週1日目(10月22日)。日程の都合で消化されていなかった今季最終戦、日体大対桜美林大の3回戦が行われた。

 日体大が勝てば優勝、負ければ筑波大が優勝し日体大は2位となる大一番。必勝を期す日体大は、2日前のドラフト会議で日本ハムから1位指名を受けた矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)が先発。すると、試合は延長11回タイブレークまでもつれる熱戦となったが4対1で勝利し、2020年秋以来となる25度目のリーグ優勝を決めた。そして、この試合の最後を締めたのが今秋、救援として活躍した右腕・箱山優(2年・日体大柏高)だ。

 系列校である日体大柏高(千葉)でプレーしていたこともあり、日体大へ進学した箱山。今春まではリーグ戦に出場することができなかったが「これまではあまり考えて野球をやってこなかったのですが、野球への向き合い方を改め、動画などを見て自分から研究するようになりました」と熱意を持って取り組むようになったという。そんなときに目に入ったのが法大の山城航太郎投手(2年・福岡大大濠高)の動画だった。

「擬音になってしまうんですけれど、腰をバッと回して投げるコツをつかんだんです」

 オープン戦で結果を残すと、今秋、開幕戦の筑波大1回戦でついにリーグ戦デビュー。翌日の2回戦で初勝利を挙げると、その後も「箱山は連投ができるので、後ろを任せています」と古城隆利監督が話すように抑えのエースを任された。

 第7週まで全11試合中10試合に登板。MAX148キロのストレートを中心に、得意のスライダーやカットボール、ツーシーム、カーブなどを織り交ぜて好投し、防御率0.00と圧倒的な数字を残した。古城監督も「箱山は強いボールをゾーンに投げていますし、冷静で安定感がある」と信頼を置いている。

 優勝をかけた桜美林大3回戦も息詰まる投手戦が続くなか「早く投げたいと思っていた」という強心臓ぶりを発揮。チームが3点を勝ち越した直後の延長11回裏、先発・矢澤の後を受けてリリーフした。

 タイブレークのため無死一、二塁の場面からマウンドに上がると暴投で二、三塁と走者を進められたが、まず141キロのストレートを内角へ投げ込み空振り三振。次打者をレフトフライに打ち取ると、最後の打者も「ストレートに合っていなかったので」とインコースの真っすぐで空振り三振に打ち取りゲームセット。見事に栄えある胴上げ投手となった。

自責点ゼロでシーズン終了


 シーズンを通して活躍したが、規定投球回数にはわずかに2回2/3足りず、最優秀防御率のタイトルは獲得ならず。本人も「正直に言えば、もう少し投げたかった」と話すが、自責点ゼロのままシーズンを終えてみせた。

 それでも「大事なのは次のシーズン」とおごることはない。また、明治神宮大会への出場権をかけた関東選手権も残っているが、今秋で矢澤をはじめとした4年生が卒業する。来春からは配置転換の可能性もあるが「先発でも抑えでも特にこだわりはありませんが、先発でゲームを作る役割もやってみたい」と希望を述べ、さらに「タイトルを全部、獲るつもりでやりたい」と抱負を語っている。

 目標は「ドラフト1位でプロへ行くこと」と箱山。実は、一足先にドラフト1位の夢を叶えた矢澤から引き継いだものがあるという。

「矢澤さんが退寮されるときにストレッチポールを受け取ったのですが、めちゃくちゃうれしかったです」

 このストレッチポールはかつて、森博人(中日)から矢澤の手に渡されたもの。歴代エースにつながれてきた。当然、矢澤も期待を込めて箱山へ渡したに違いない。近年、日体大からはドラフト上位で指名される好投手が次々と生まれているが、そのバトンは箱山に引き継がれている。

取材・文=大平明 写真=BBM
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