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プロ野球記録ノート

現役ドラフトで巨人に移籍したオコエの世代の成績は?【プロ野球記録ノート】

 

オコエの世代は4人が移籍


現役ドラフトで楽天から巨人へ移籍したオコエ


 初めての現役ドラフトが行われ、12人が指名を受け移籍した。その中で話題になっているのは、楽天から巨人に移籍したオコエ瑠偉。オコエはドラフト1位で2016年に楽天に入団。1997年生まれの25歳だが、今回の12人のうち4人が1997年度生まれの同学年だった。

 渡邉大樹  ヤ→オ 2016年入団 D6位
 大下誠一郎 オ→ロ 2020年入団 D育成6位
 成田翔   ロ→ヤ 2016年入団 D3位
 オコエ瑠偉 楽→巨 2016年入団 D1位

 今回はこの学年にスポットを当ててみよう。

 高校からすぐにプロの世界に入ったのは、2015年秋のドラフト組で40人。1位は春のセンバツでベスト8に入った県岐阜商高のエース・高橋純平ソフトバンク日本ハム中日の3球団から指名を受けソフトバンクがクジを引き当てた。夏の甲子園で準優勝だった仙台育英高の主軸・平沢大河も地元の楽天とロッテと競合し、ロッテが交渉権を獲得。外れた楽天は夏の甲子園でベスト4だった関東一高のオコエ瑠偉を指名。高橋純を外した日本ハム、中日は夏を制覇した東海大相模高の左腕エース・小笠原慎之介を指名し、またクジになり中日が交渉権を獲得した。2位ではソフトバンクが日大三島高の小澤怜史(現・ヤクルト)、ヤクルトが智弁学園高の廣岡大志(現・巨人)が指名された。

 高橋純は故障に泣かされ1年目は一軍登板なし。2年目にプロ初登板したものの1試合のみ。2019年にリリーバーとして45試合に登板、3勝17ホールドをマークしたものの、2021年は10試合、今季は一軍登板なしとなかなか結果を出せないままでいる。小笠原は1年目の交流戦で一軍デビューを果たし2勝をマーク。3年目の2018年は開幕投手を任されたが、4〜5年目は7、4試合と登板数も激減。6年目の2021年は自己最多の25試合に先発し8勝、初めて規定投球回に到達すると今季は初の2ケタ10勝をマーク。防御率2.76でやっと安定したピッチングができるようになってきた。

 一方、ドラ1の打者はどうだろう。平沢は1年目に一軍デビューを果たしたものの23試合に終わる。3年目の2018年は112試合に出場し打率.213、5本塁打をマークし今後の成長が期待されたが、2020〜21年は故障などで一軍出場なし。今季も13試合の出場に終わり、正念場に立たされている。オコエも1年目は51試合、2年も41試合に出場し39安打中、二塁打17本と普通だったら単打の打球を快足で二塁打にするなど自慢の足を見せていたが、その後は尻すぼみ。今季は6試合の出場に終わっていた。

 ドラフト1位の4人中、小笠原を除く3人は期待に応える活躍はまだ見せていない。

2位はすでに2人が他球団へ


ソフトバンクからヤクルトへ移籍し、今年は日本シリーズでも登板した小澤


 2位の2人はすでに他球団に移籍している。小澤は2年目に一軍初登板。3年目の2018年は故障のため一軍登板はなく、翌年は育成選手契約。2020年オフには戦力外通告を受けるが、トライアウトに参加しヤクルトに育成選手として入団。今年の6月、4年ぶりに支配下選手され優勝争いの中、主に先発として登板し2勝をマークし復活した。そのヤクルトに入団した廣岡は4年目の2019年に91試合に出場し10本塁打をマークしレギュラーをつかみかけたが、翌年はエスコバーの入団で出場機会が減り、2021年シーズン直前に巨人にトレードされた。

 3位以下で実績を挙げているのはヤクルトにドラフト3位で指名された高橋奎二(龍谷大平安高)。プロ3年目の2018年に一軍初登板しプロ初勝利もマーク。2021年には13試合に先発し4勝。日本シリーズでは第2戦で初登板初完封を記録。今季も8勝を挙げチームのリーグ連覇に貢献している。打者では西武にドラフト4位で入団した愛斗が実績を挙げている。2021年は97試合に出場し、今季は121試合。規定打席には及ばなかったが、打率.243もマークしレギュラー確保まであと一歩だ。

高卒入団20人はすでに引退


 高卒で入団した40人中(育成も含む)20人はすでに引退している。

 2018年のドラフト(2019年入団)では高校→社会人の3人が指名され、いずれも投手(オリックス富山凌雅、ソフトバンク・杉山一樹、中日・勝野昌慶)で、富山は2021年にはリリーフとして51試合に登板した。

 翌2019年(2020年入団)は大学組のドラフト。1位は明大の森下暢仁のみ。広島の単独指名ですんなり入団。1年目から10勝をマークし新人王を獲得。今季も先発の軸となり10勝と順調に成長している。同じく明大から3位でDeNAに入団した伊勢大夢は、今季リーグ最多の71試合に登板し3勝1セーブ、39ホールドをマーク。3年間で143試合に登板している。同じくリリーフとして活躍しているのは、東北福祉大からソフトバンクに3位で入団した津森宥紀。今季は51試合、4勝1セーブ、18ホールドの活躍で、通算110試合に登板している。

 野手ではロッテのドラフト3位で国士舘大から入団した高部瑛斗がいる。今季は外野のレギュラーの座を確保し44盗塁で盗塁王を獲得した。同じくロッテの佐藤都志也も東洋大から2位で指名を受け、今季は118試合で8本塁打、31打点とキャリアハイの生成を残している。またソフトバンクに慶大から5位で指名された柳町達も今季107試合に出場して打率.277とレギュラーへの足掛かりをつかんでいる。

 2020、21年のドラフトでは、独立リーグ、社会人から13人がドラフトされ、ここまで1997年度組は93人がプロ入り。

 今季まで規定投球回に達したのは小笠原、森下の2人。規定打席は高部の1人とちょっと寂しい結果だった。

 今年のドラフトではヤクルトが東芝の吉村貢司郎を1位指名。楽天も鷺宮製作所の小孫竜二を2位指名。いずれも先発型の即戦力投手だけに「世代」のスターになれるか注目だ。

文=永山智浩 写真=BBM
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