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DeNA移籍の京田陽太 打撃改造で「遊撃レギュラーの最有力候補」の期待が

 

精彩を欠いた近年


中日からDeNAに移籍した京田


 まだ見慣れないユニフォーム姿かもしれない。だが、新天地にかける思いは強い。中日から砂田毅樹との1対1の交換トレードでDeNAに加入した京田陽太だ。

 今月5日に行われた入団会見では、「143試合ショートでレギュラーとして出場することを目標に、チームから与えられた役割に対してしっかりと準備したいと思います」、「ドラゴンズには6年間お世話になりました。名古屋の皆さんには活躍して恩返しをという気持ちがあります」と力強く誓った。

 中日のショートストップとして活躍。1年目の2017年に141試合出場で打率.264、4本塁打、23盗塁で新人王を獲得するが、打撃はこの数字がキャリアハイとなる。近年は精彩を欠き、20年にリーグワーストの13失策を記録。昨年は打撃不振によりプロ5年目で初のファーム降格を味わう。立浪和義監督が就任した今季は再起を誓ったが、歯車がかみ合わない。攻守に精彩を欠き、5月4日のDeNA戦(横浜)で立浪監督に「戦う顔をしていない」と叱責され、試合中に名古屋へ強制送還。そのままファームに降格した。その後も一軍定着できず、自己ワーストの43試合出場で打率.172、3本塁打、8打点に終わった。

守備の安定感は抜群


 そして、トレードで中日に別れを告げて同一リーグのDeNAへ。実力を評価されての移籍だが、遊撃のレギュラーを保証されているわけではない。森敬斗柴田竜拓大和との競争になる。森は身体能力の高さに定評があり、柴田と大和は守備力が武器の選手だが、京田が本来の姿を取り戻せば、遊撃の守備力は間違いなくリーグトップクラスだ。ゴールデン・グラブ賞を獲得した経験はないが、球際に強くチームの窮地を救う好守を再三見せてきた。数字では測れない貢献度で、中日投手陣の信頼が厚かった。

 目標に掲げる遊撃での全試合出場に向け、カギを握るのが打力だ。身長184センチと恵まれた体格で俊足だが、打率2割5分をクリアしたシーズンは2度のみ。昨秋のキャンプでは立浪監督や中村紀洋打撃コーの指導を受け、バットを体の正面で低く構え、高く上げて大根切りのように振り下ろす打撃フォームに改造した。悪癖である「2度引き」を解消するのが狙いだったが、なかなか結果が出ず試行錯誤を重ねた。

石井コーチがどう修正するか


 京田の打撃をどう修正するか。注目されるのがDeNA・石井琢朗チーフ打撃コーチだ。現役時代は名遊撃手として活躍し、横浜(現DeNA)、広島で通算2432安打をマーク。引退後は広島、ヤクルト巨人のコーチを歴任した。広島で丸佳浩(現巨人)、鈴木誠也(現カブス)、ヤクルトで村上宗隆の指導に携わり、巨人では中島宏之の復活を手助けした。個々の選手の良さを引き出す指導能力に定評があり、京田の持っている潜在能力をどう引き出すかが興味深い。石井コーチは対戦相手として新人のころから京田のプレーを見ており、攻守両面での特徴を把握しているだろう。

 スポーツ紙デスクは、「まだ28歳と老け込む年ではないし、プライドをかなぐり捨てて打撃をもう一度土台から作り直したほうがいい。京田が打撃で覚醒すれば、遊撃のレギュラーの最有力候補になる」と期待を込める。

 応援しているのはDeNAファンだけではない。京田を気に掛けている中日ファンは多い。古巣との対決で成長した姿を見せたい。

写真=BBM
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