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佐藤輝明は覚醒できるか 球界OBの強打者「このままでは並の打者で終わる」

 

三塁のレギュラーをつかむために


昨季は1年目より打率、出塁率などはアップしたが本塁打は減った佐藤


 昨年11月に高知・安芸で開催された阪神の秋季キャンプ。佐藤輝明の打撃フォームが変わっていた。耳の近くで構えていたグリップの位置がアゴの位置まで下がり、スタンスの幅が広くなった。危機感が体を突き動かし、大幅改造に踏み切ったのだろう。岡田彰布新監督が就任した今年は守備位置が三塁で固定される方針だが、レギュラーが確定しているわけではない。

 阪神を取材するスポーツ紙記者は、こう語る。

「佐藤の身体能力は球界屈指。ただその能力の半分も出し切っているとは言えないでしょう。岡田監督が体力のなさ、打撃ついて厳しく評価するのは期待の裏返しです。村上宗隆(ヤクルト)、同期入団の牧秀悟(DeNA)に比べると、打てないポイントが多く確実性に欠ける。今年2月の春季キャンプはシーズンに向けての調整期間ではない。三塁のレギュラーをつかむために、どれだけ変わった姿を見せられるか重要な時期です」

 筋肉隆々とした肉体からフルスイングされた打球は、ピンポン玉のようにスタンドを軽々と超える。ルーキーイヤーの2020年。4月9日のDeNA戦で横浜スタジアムの右中間に場外アーチを放った軌道は衝撃だった。5月28日の西武戦(メットライフ)では1試合3本塁打を記録するなど、プロに入ったばかりの和製大砲が「球界の主役」と称賛されるほどの輝きぶりだった。後半戦にスランプに陥って失速したが、打率.238、24本塁打、64打点をマーク。阪神ファンに大きな希望を抱かせた。

好不調の波が激しい課題


 プロ2年目の昨季。矢野燿大前監督に開幕から四番に抜擢され、ボール球を振らないように心掛けている姿勢が見られた。だが、相手バッテリーに与える怖さも半減しているようにも。打率.264、20本塁打、84打点。左打者で史上初の新人から2年連続20本塁打を記録し、137三振と前年の173から減少。四球も25から51に倍増して出塁率も.328と前年から4分以上アップしたが、本塁打数を減らして好不調の波が激しい課題を克服できなかった。チームで唯一リーグ全143試合に出場したが、ヤクルトと対戦したCSファイナルステージ2戦目でスタメン落ち。首脳陣の信頼をつかんだとは言えなかった。

「打撃フォームの修正を求めたい」


 野球評論家の張本勲氏が、週刊ベースボールのコラムで佐藤について言及している。

「岡田監督は今の2人(佐藤輝明と大山悠輔)の打撃に関しては、持っている力を考えれば物足りない、もっと打てるはずだと考えているのだろう。特に佐藤輝だ。今季の打席をよく見ていたが、どこでタイミングを取ろうとしているのか、さっぱり分からなかった。見るたびに違っていたし、そもそもタイミングの取り方が分かっているのか、という感じだった。ルーキーイヤーだった昨シーズン序盤、あれほど打席で迫力があったにもかかわらず、今季は何だか小さくまとまってしまった感は否めない。三振が怖いのかもしれないが、佐藤輝には打撃フォームの修正を求めたい。このままでは並の打者で終わってしまう。来季はプロ3年目、岡田監督の期待にしっかりと応えてもらいたい」

 18年ぶりのV奪回へ、佐藤の力は不可欠だ。昨年の阪神の489得点、84本塁打は共にリーグ5位。投手が好投しているにもかかわらず、貧打で見殺しにしてしまう試合が少なくなかった。岡田監督が目指す「アレ」に向け、佐藤と大山が主軸の両輪として機能しなければ、得点力は上がらない。岡田監督は週刊ベースボールのコラムで、「佐藤やけど、打撃を変えることが重要やけど、うまくチェンジできれば、必ずジャンプアップできると思うし、タイトルだって可能性は出てくるに違いない」と期待を込めている。

 虎のホームランアーチストは、打撃フォーム改造で覚醒できるか。

写真=BBM
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