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黄金時代を取り戻すべく歩を進める青学大に加わった甲子園で頂点を経験した2人の有望1年生

 

リーダーシップ旺盛の星子


昨春のセンバツで優勝した大阪桐蔭高の主将・星子[左]と右翼手・谷口[右]は青学大の練習に合流した


 母校・青学大を率いる安藤寧則監督は、新入生を勧誘する際に「ご縁」という言葉を使う。

「入学すれば、私の後輩になるんです。4年間、一緒に良い時間を過ごしたい」

 情熱あふれる指導に惹かれ、甲子園で頂点を経験した有望1年生2人が、青学大に加入した。

 大阪桐蔭高で昨春のセンバツ甲子園で4年ぶりの優勝を遂げた際の二塁手の主将・星子天真と、右翼手の谷口勇人だ。安藤監督は大阪桐蔭高のグラウンドで視察した2人の動きを見て、一目惚れしたという。

 まずは、リーダーシップ旺盛の星子。

「青山学院大学野球部の自主性の文化に合う選手だと思いました。グラウンドを大きく回る、ランニングメニューがあったんです。大型選手が多いチームで、(168センチの)星子の姿はなかなか見えないんですが、先頭集団を必死の形相で走っている。あの姿が、忘れられません。キャッチボール、ノックでも良い声。一緒にやりたいと思いました」

 小学校時代に在籍した弓削キング、侍ジャパンU-12代表、ホークスジュニア、中学時代に在籍した熊本泗水ボーイズ、カル・リプケン世界大会でいずれも主将を務めた。生粋のキャプテンシーは、大阪桐蔭高でも発揮。同校で「史上最高のキャプテン」と言われるトヨタ自動車の捕手・福井章吾(慶大)と2年冬に対面する機会があった。約30分、膝を付き合わせて、多くを吸収したという。

「自分の誕生日には『おめでとう!』と、気遣いのできる方。人としてのお手本です。たくさんのヒントをいただきました。福井さんのような人間性を身につけていきたいです」

 青学大への志望理由はこうだ。

「熾烈な一部の残留争い、二部との入れ替え戦がある東都大学に魅力を感じました。厳しい世界で、個人としても成長したい。まずは先輩に追いつき、レギュラーを獲得して東都でベストナイン。大学でも日本一を達成したいです。目標はプロですが、プロを目指す中で1年でも長く、野球をしたいと思います」

下級生時代から評価されていた谷口


 星子とともに大阪桐蔭高から青学大へ進学する谷口勇人とは、中学時代から知り合いだった。星子は九州選抜、谷口は関西選抜で、鶴岡一人記念大会で顔を合わせたという。

「中学時代から仲が良かったんです。星子はすでに大阪桐蔭に進学すると聞いていたので、いろいろと話をしました。高校に続いて、大学も同じユニフォームを着られるのは、心強い限り。切磋琢磨していきたいです」(谷口)

 青学大・安藤監督は谷口を下級生時代から評価。まだ、ベンチ入りしていなかったが、素質を認めていた。「肩が良いですし、打撃はタイミングの取り方が抜群」。先見の明があった。谷口は2年秋以降、不動の二番としてチャンスメーク、つなぎ、好機では勝負強さを披露した。「大阪桐蔭さんは、最も対応力のあるバッターが二番に入る。素晴らしかった」。左投げ左打ちの外野手で、同校先輩のロッテ藤原恭大のプレースタイルにあこがれる。

「4年後の目標はプロの世界ですが、目指す上で、青山学院大学の日本一に貢献したい。東都大学リーグでは、首位打者を取りたいです。チームの勝利のために、何ができるかを考えていく。全力を出し切った結果として、進路もついてくればいいと思います」

 青学大への志望理由はこうだ。

「中学、高校もそうでしたが、大勢の部員の中でプレーするよりも、少人数制のほうが、自分には合っているんです。指導者もより、目を向けてくれると思いますので」

 青学大は野球部合宿所の収容人数の事情もあり、約50人の選手で運営されている。安藤監督、中野真博コーチが部員一人ひとりに丁寧に接する環境が整う、少数精鋭の集団だ。安藤監督は全体ミーティングで言った。

「1年生は、可能性の塊。(先発メンバーの)名前を呼ばせてほしい。2年生以上には、新入生の名前を呼ばせないようにしてほしい」

 青学大は東都大学リーグ優勝12度、全日本大学選手権優勝4度の名門だ。しかし、リーグ優勝は2006年春、大学日本一は05年が最後。安藤監督は19年に就任した。当時は東都二部。21年春から一部へ復帰し、かつての黄金時代を取り戻すべく一歩一歩、進んでいる。大阪桐蔭高コンビ以外にも意識の高い1年生が加わり、グラウンドは活気に満ちている。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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