昨年は借金2の4位

昨季も負け越しと納得のいく成績を残せなかった田中将
今年のパ・リーグは、
オリックスと
ソフトバンクの「2強」と占う声が多い。リーグ3連覇を目指すオリックスはFAで
森友哉を獲得。
吉田正尚がポスティングシステムでレッドソックスに移籍したことはマイナスだが、投打共に充実した戦力であることは間違いない。何よりリーグ連覇、昨年は26年ぶりの日本一に輝いた経験が大きい。選手たちは揺るぎない自信をつけている。
オリックスにシーズン最終戦で逆転優勝を許したソフトバンクは、オフに大型補強で戦力を一気に充実させた。FAで
近藤健介、
嶺井博希の獲得に成功し、昨季
ロッテでプレーしていた
ロベルト・オスナ、先発で安定感を見せる元
阪神の
ジョー・ガンケルを補強。レンジャーズ傘下3Aの
有原航平も加入した。エース・
千賀滉大がメッツにFA移籍したが、優勝争いに絡んでくることは間違いないだろう。
選手の実績で言えば、この球団もオリックス、ソフトバンクに見劣りしない。優勝候補のダークホースとして期待されるのが、
楽天だ。
昨年は開幕ダッシュに成功し、一時は貯金18に。投打ががっちりかみ合って首位を独走するかに思われたが、その後はズルズルと下降線をたどり、8月13日に勝率5割に逆戻り。貯金18以上あったチームがゼロになるのはプロ野球史上初だった。シーズン終盤も連敗が続き、借金2と4位に沈んだ。
投打の主力も、苦悩の表情が目立った。日本球界復帰2年目の
田中将大は自身ワーストの6連敗を喫するなど9勝12敗、防御率3.31。163イニングを投げてゲームメーク能力の高さはさすがだったが、要所で踏ん張れないマウンドが続いた。
浅村栄斗は楽天の野手で唯一の全143試合に出場し、打率.252、27本塁打、86打点。得点圏打率.317はさすがだったが、チームの失速と歩調を合わせるかのように夏場に当たりが止まった。
楽天で果たせていない使命
浅村は昨年9月に週刊ベースボールのインタビューで、心境を吐露していた。
「いや、どうですかね。フォームは……、そんなに悪くはないのかなとは思うのですが、それはシーズンが終わってちょっと考えようかなと思っているところでもありますね。オフにガラッといろいろなことを変える、いいきっかけにはなると思っています。このままだと、二流選手で終わってしまうので。来年に生かすためにいろいろ変えようかなという気持ちではいますね」
「打率でも打点でもホームランでも、全部納得していないので、自分がもっとやれると信じて練習するしかないなと。今の成績、今の自分というのをしっかり受け止めて、また成長してもっといいバッターに、もっといい選手になれるように頑張りたいなと思います」

さらにいい選手へ成長することを誓う浅村
楽天で使命を果たせていない思いがあったのだろう。FA権を獲得し、去就が注目されたが、新たに4年契約を結んだ。田中将も年俸9億円から大幅ダウンとなる推定年俸4億7500万円プラス出来高の単年契約でサイン。両選手は侍ジャパンでWBC出場を熱望していたが、メンバーから落選した。ただ、気持ちは切り替わっているはずだ。シーズンに向けてきっちり仕上げてくるだろう。
スポーツ紙デスクは「田中、浅村は自分たちの成績にまったく納得していないでしょう。ナインの人望が厚い2人が活躍すればチームも勢いづく。田中は2ケタ勝利、浅村は3割、30本塁打がノルマですね」と期待を込める。
石井一久監督は今季GM職を兼務せず、監督業に専任。就任3年目の今季は不退転の決意で臨む。「タレント集団」は10年ぶりの頂点に立てるか。
写真=BBM