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5位からの下克上を目指す法大 低迷脱出の切り札は「大学No.1野手を目指す」遊撃手・今泉颯太

 

指揮官の熱量を受け止める主将


法大の遊撃手で主将・今泉はシート打撃で力強いスイングを披露している


 東京六大学リーグ戦の優勝回数は、法大と早大が46度のトップで並ぶ。法大は2020年春に天皇杯を手にしたのを最後に、昨秋まで5シーズン連続(5位、4位、5位、4位、5位)でBクラスに低迷している。

 昨秋は4勝8敗、勝ち点1。法大は勝ち点ゼロ同士の顔合わせとなった東大との最終カードで連勝し、1947年春以来の最下位を免れた。

 就任3年目の法大・加藤重雄監督は「秋の悔しさは東大戦以降、ずっと忘れていない。取り組んできたことを、神宮で示すしかない。練習と私生活の充実。この意識が、天と地の差となる」と、V奪還への意気込みを語った。

 指揮官の相当な熱量を真正面から受け止めるのは、主将・今泉颯太(4年・中京大中京高)だ。小学校、中学校、高校と所属チームの最終学年ではいずれもキャプテンを務めてきた。法大に入学時も「4年になったら、自分がやるつもりで、この3年間を過ごしてきました」と、生粋のリーダー気質の持ち主である。

「自分がやらないと、チームは変わらない」

 当たり前のことを、当たり前にする。合宿所においても、全員がルールを守り、規則正しい生活を送る。上級生が実践してきた。チームスローガンは「克」。部員同士で考えた。

「幹部で『勝』という案も出たんですが、結果を残した上で、応援されるチームを目指したい。練習では己に勝ち、試合では相手に勝ち、最終的に5位からの下克上を果たす。首位打者とベストナイン。個人の目標を達成することがリーグ優勝、日本一につながる。個の能力を一つに束ねて、チーム力として機能させるのが、自分の役割だと思っています」

 2月12日から17日まで、千葉県鴨川市でキャンプを張った。合流前の新1年生を除く、3学年117人の全部員が参加。今泉主将は「緊張感ある練習で、お互いのことを知り、一体感を高めることができました」と、手応えを語る。23日から28日までは薩摩おいどんカップに参加。5泊6日で8試合(2日間はダブルヘッダー)という過密スケジュールの中で、選ばれた30人が実戦力を高めていく。

「背中、態度で引っ張る」


法大・加藤監督は今泉を今春、一番での起用を示唆。「積極的なスイングで、突破口を切り開いてほしい」と期待を寄せる


 今泉主将は右投げ右打ちの遊撃手。2年秋に定位置を獲得し、昨年は春、秋で計4本塁打と「打てるショート」として注目を集めている。遠投115メートルの強肩。プロで活躍した法大・大島公一助監督(元オリックスほか)の下で、守備力も向上している。昨年12月には、大学日本代表候補合宿(愛媛・松山)に参加。大学卒業後の進路は「プロ志望」を明言する。

「大学No.1野手を目指す。野手で、最初に指名されるようになりたいです」

 チームの和を大切に、個の技術をアップさせたその先に、成果がついてくると信じる。

「法政大学の支えになれるように背中、態度で引っ張っていきたい」

 加藤監督は積極性を買い今春、一番での起用を示唆。日常生活から模範的な行動を取る今泉主将が、低迷脱出の切り札となり、チームを攻守で活気づけていく。

文=岡本朋祐 写真=桜井ひとし
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