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プロ野球記録ノート

WBCで3点差以内は7勝8敗の負け越し 日本代表の勝利へのポイントは下位打線?【プロ野球記録ノート】

 

日本の点差別勝敗は?


第1回大会で世界一に輝いた日本だが、1点差試合ではすべて負けた[写真はMVPの松坂]


 まもなく第5回のワールドベースボールクラシックが始まる。新型コロナのために延期されていたが、2017年以来6年ぶりの開催となる。

 過去4回の日本は2006、09年に連覇を果たしたが、2013年は準決勝でプエルトリコ、2017年は同じく準決勝でアメリカに敗れ決勝には進めなかった。

 日本は4大会で全31試合に戦っているが、点差別に見ると次のとおりとなる(カッコ内は第2ラウンド以降)。

 1点差 1勝5敗(1勝3敗)
 2点差 3勝1敗(2勝1敗)
 3点差 3勝2敗(1勝1敗)
 4点差以上 16勝0敗(10勝0敗)

 4点差以上では16勝無敗と無類の強さを見せているものの、3点以内の接戦のゲームでは7勝8敗と負け越している。特に1点差ゲームは、

 第1回 1R ● 2−3 韓国
 第1回 2R ● 3−4 アメリカ
 第1回 2R ● 1−2 韓国
 第2回 1R ● 0−1 韓国
 第3回 2R ○ 4−3 チャイニーズタイペイ
 第4回 準決 ● 1−2 アメリカ

 で1勝5敗。前回は準決勝でアメリカに敗れ決勝に進めず、2点差だったが第3回でも準決勝で1対3でプエルトリコに敗れ涙をのんだ。

 勝ち進むにつれロースコアの戦いが多くなる大会で、決定打が出ずに敗れるケースも多かった。

大会別の打率、打点のベスト3は?


 ここでちょっと大会別の打率、打点のベスト3を見てみよう(打率はシーズン同様に試合数×3.1を超える打席の選手、カッコ内は打順=スタメン出場数)。

◎2006年(8試合)
★打率
 松中信彦 .433(四番=8)
 里崎智也 .409(八番=6、六番=1)
 イチロー .364(一番=6、三番=2)
★打点
 多村仁   9(五番=5、六番=2、三番=1)
 西岡剛   8(二番=8)
 小笠原道大 7(七番=8)

 全試合で四番を任された松中が打率.433と好調だったが打点はわずか2。塁に出た松中を五〜七番を打っている多村、小笠原が還すパターンがはまり、松中の得点はチームではダントツの11だった。また主に八番を打った里崎も好調で打率は4割超え。一番のイチローも出塁し二番の西岡が還すという「下位から上位」の得点パターンも機能した。

2009年の第2回大会でチームトップの打率を残した中島[写真=Getty Images]


◎2009年(9試合)
★打率
 中島裕之 .364(二番=9)
 城島健司 .333(八番=6、四番=2、七番=1)
 青木宣親 .324(三番=9)
★打点
 青木宣親 7(三番=9)
 村田修一 7(四番=4、五番=2、六番=1)
 中島裕之 6(二番=9)

 この大会はイチローがすべての試合で一番を打ったが、準決勝までは打率.211と絶不調。その代わり全試合で二番を打った中島が打率.364、出塁率.516とチームトップ。それに続く三番の青木も打率3位、打点トップと打線がつながった。四番は稲葉篤紀が3試合、村田も4試合を任されたが故障のため準決勝の前に帰国。八番を打っていた城島が2試合で四番を打った。決勝の韓国戦では不調だったイチローが延長10回に決勝タイムリーを放ったが、その試合だけで4安打を記録した。

2013年の第3回大会でチームを救う一打を放った井端[写真=Getty Images]


◎2013年(7試合)
★打率
 井端弘和 .556(二番=3、三番=2)
 内川聖一 .348(三番=5)
 松田宣浩 .333(九番=6)
★打点
 阿部慎之助 7(四番=6)
 糸井嘉男  7(五番=4、六番=2、四番=1)
 坂本勇人  6(一番=2、五番=2、六番=2)
 長野久義  6(一番=2、六番=2)

 初戦のブラジル戦は代打でヒットを放った井端が、第2戦からスタメン出場。第2ラウンドのチャイニーズタイペイ戦では、9回二死二塁から起死回生の同点打を放つなど大活躍。打率は5割を超える.556でチームトップ。四番を務めた阿部、糸井が打点ではトップの7だったが、準決勝のプエルトリコ戦は井端の一発による1点に終わった。

2017年の第4回大会では九番を打った小林の打棒が好調だった[写真=Getty Images]


◎2017年(7試合)
★打率
 小林誠司 .450(九番=7)
 坂本勇人 .417(六番=6)
 松田宣浩 .333(八番=4、七番=2)
★打点
 筒香嘉智 8(四番=7)
 中田翔  8(五番=6)
 松田宣浩 7(八番=4、七番=2)

 六番の坂本と九番の小林が打率4割超え。全試合四番だったら筒香は3本塁打、8打点も準決勝のアメリカ戦はノーヒットに終わった。三番は青木宣親が6試合、山田哲人が1試合だったが、2人で24打数4安打、打点3、打率.167と低調だった。

 第1回では主に八番だった里崎が打率4割超え。第2回の城島も主に八番で打率.333。第3回は主に九番だったが松田が打率.333。第4回でも九番の小林がチームトップの打率.450と下位打線の活躍が目立つ。今大会は大谷翔平村上宗隆など上位、中軸を打つ選手が注目されるが、勝負を避けてくるケースも考えられる。下位打線の活躍が上位進出、3大会ぶりの優勝へのカギを握るかもしれない。

文=永山智浩 写真=BBM
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