幸先の良いスタート

　3月4日に高校野球の対外試合が解禁。18日のセンバツ開幕を控えた東邦高(愛知)は木本高(三重)との練習試合初戦を、10対3で勝利した。試合後の昼食は、同校野球部の活動拠点である東郷町内の支援者からの差し入れ(にんじん、ジャガイモ、タマネギ、米、ルー、豚肉)で調理したカレーライスだった(写真)。3回裏の逆転打を含む3安打の活躍を見せた上田耕晟(3年)にとって幸先の良いスタートとなり、ランチも格別の味だった。

　父は中日・上田佳範二軍打撃コーチ。上田は30年ぶりに優勝を遂げた2019年春のセンバツ1回戦(対富岡西高)をアルプス席で観戦。「甲子園を狙える」と、東邦高に進学した。

　東邦高は昨秋、東海大会で優勝し、明治神宮大会に出場した。上田は父と同じ右投げ左打ちである。「小さいころから左で打っていました」。50メートル走6秒4、遠投100メートル。NPB通算486安打を放った親譲りのポテンシャルの高さを武器に、中堅手として、チームの勝利に貢献した。昨秋は主に八番だったが、この日の練習試合では「技術的に上がっている」(東邦高・山田祐輔監督)と五番・中堅手で起用され、俊足を生かした2本の三塁打を放ち、期待に応えた。冬場は下半身強化で体重が2キロ増の69キロ。「グラグラせず、どっしりと構えられるようになった。バットが強く振れている」と成果を語った。


　幼少時、父から甲子園での戦い方を聞いたことがある。特に難しいのは外野の天然芝と人工芝の段差、フェンス沿いの打球の転がり方、不規則なゴロの打球の処理方法。最善の準備をして大会に臨むという。父は松商学園高(長野)の右腕エースとして1991年春のセンバツ準優勝を経験。父の実績を超える意味でも「優勝を狙います」と、上田は決意を語る。

　好きな選手はソフトバンク・柳田悠岐。打席内では、チームとしての約束事である「積極的なスイング」を心がけ、相手バッテリーに相当なプレッシャーを与えていく。

文＝岡本朋祐　写真＝BBM