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【高校野球】「緊張した」公式戦初さい配 日大三新監督は「目の前の試合を勝ち抜くことに集中」

 

「景色が……こんなに見にくいものなんだ」


日大三高・三木監督は4月1日に就任し、初の公式戦を勝利で飾った


 日大三高は4月4日、春の東京大会初戦(2回戦)で、青山高に11対1の5回コールド勝利。試合会場は慣れ親しんだスリーボンドスタジアム八王子。何度も激戦を繰り広げた三塁ベンチも、この日ばかりは勝手が違った。

 部長時代は三塁寄りに陣取り、青いメガホンを手に選手を叱咤激励。誰よりもオーバーアクションで、声を張り上げていた。しかし、監督となれば、本塁寄りが定位置である。

「景色が……こんなに見にくいものなんだ」

 4月1日から母校・日大三高を指揮する三木有造監督は率直な感想を語った。26年間、コンビを組んできた小倉全由前監督が3月末で退任。名門校のバトンを託された。

 試合後の会見。「緊張しました」と、公式戦初さい配を振り返った。「選手たちはふだんどおりでしたが、それ(監督の思い)が伝染してしまったかも……」。プレーボール当初はやや硬さが見られたが、1回裏の攻撃で先頭打者・古賀也真人(3年)が死球で出塁すると、初球に二盗を成功させた。「積極的に、行けたら行こう、と。あれで少し楽になりました」(三木監督)。打線がつながり打者11人、長短6安打で7点を先制し、試合の主導権を握った。

 三番・三塁の主将・二宮士(3年)は三木新監督の下で臨んだゲームの感想を語った。

「サインを出すタイミングも一緒で、違和感はなく、いつもどおりの試合ができました」

 前日のミーティングで、落ち着いたという。

「試合前にいつも5つのことを確認するんですが、小倉さんが辞めても、三木さんは変わらないんだな、と」

・サインは一発で決める
・塁に出たら殺されない
・間に合わなければ投げない
・甘いボールは見逃さない
・最後まで油断しないし、あきらめない

 二宮主将の帽子のひさしには「練習は嘘をつかない」と書いてある。3月31日。小倉前監督の指導最後の日に書いてもらった。

「目の近くにあるので、いつでも確認できる。小倉さんの野球をしたいなと思います」

変わらない前監督へのリスペクト


日大三高の主将・二宮の帽子のひさしには、小倉前監督からの座右の銘が書いてある


 三木監督は自身のカラーを築いていきながらも、小倉前監督へのリスペクトは変わらない。

「ウチの小倉が土台をつくってくれていますので、続けていきながら、選手は監督が代わっても高校3年間やることは変わらない。良い伝統、良い歴史を残してくれているので、自分はつないでいこうかな、と思います」

 この日、小倉前監督は観戦する予定だった。しかし、これまで生徒と寝食をともにした三志寮からの引っ越しの手配がうまくいかず、現地に足を運ぶことができなかったという。

「心配は、心配だと思います……。(小倉前監督からは)自分らしく、思い切ってやれ、と言われています」(三木監督)

 難しい初戦を突破し、3回戦以降は、平常心で試合に挑めるはずだ。主将・二宮は言う。

「東京大会優勝、関東大会優勝を目指していますが、目の前の試合を勝ち抜くことに集中したい」

 三木監督をサポートする指導陣も充実する。04年から母校を指導する白窪秀史助監督に加えて、新たに同校OBの中島健人氏(前・錦城学園高)が4月1日、部長に就任した。小倉前監督は退任前に「中島は三高では(08年の)主将経験者で、高校野球における指導実績も豊富であり、チームのまとめ方を理解している。3人で頑張ってくれると思います」と期待感を話していた。昨秋は東京大会準決勝敗退。今春のセンバツは東京地区の補欠校だった。新生・日大三高は春の戦い経て、今夏は2年連続での甲子園出場を狙っている。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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