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阪神が強力打線に変貌? 岡田イズム浸透で「昨年とまったく違うチーム」の声が

 

開幕4連勝を達成


チームを勝利に導くさい配を見せる岡田監督


 優勝候補に挙げられながら、阪神ファンは不安な気持ちもあっただろう。昨年は開幕戦でヤクルトに7点差をひっくり返されて大逆転負け。この敗戦が尾を引く形で9連敗を喫すると、その後も低空飛行が続き開幕25試合を終えて4勝20敗1分。底力を見せて借金16を完済したが、そこまでが目いっぱいだった。

 岡田彰布監督が就任した今季は開幕からつまずくわけにはいかない。京セラドームにDeNAを迎えた3連戦で、最高のスタートダッシュを切った。開幕戦は「八番・遊撃」で起用された小幡竜平が2本の適時打を含む猛打賞2打点の活躍で6対2と快勝。2戦目は先発の秋山拓巳が初回に4点を失うが、今季の阪神打線は反発力がある。直後にシェルドン・ノイジー大山悠輔、ドラフト1位・森下翔太の適時打で3点を返す。5回に佐藤輝明の中犠飛で同点に追いつくと、同点で迎えた延長12回は伏兵がキーマンに。二死から代打・糸原健斗が右前打で出塁したのをきっかけに満塁の好機を作ると、近本光司がサヨナラ適時打。糸原の一打が試合の流れを変えた。

 3戦目も2点差に迫られた8回二死一塁の島田海吏の打席で中野拓夢が二盗を決めると、1ストライクの場面で原口文仁が代打に登場。エドウィン・エスコバーの154キロ直球をはじき返した打球は左翼席スタンドに飛び込む2ラン。岡田監督の采配が見事に決まった。

 昨年はリーグ5位の489得点。110盗塁はリーグ断トツトップだったが、攻撃の引き出しが多いとは言えなかった。延長戦で2勝10敗4分と大きく負け越したデータが、その戦いぶりを物語っている。だが、今年は違う。控えには俊足の島田、植田海のほか、代打要員として原口、糸原、日本ハムから移籍した渡邉諒が控える。

代打に能力の高い選手


 他球団のスコアラーは、「原口、糸原、渡邊諒に共通しているのが直球に強いこと。150キロを超えるリリーバーが多いが、代打の1打席でもきっちり対応できる。接戦の終盤で得点が取れる雰囲気が漂うのは代打に能力の高い選手がそろっているから。昨年と戦い方がまったく違うチームになっている」と警戒を強める。

4月4日の広島戦では9回に大山が勝ち越し二塁打


 守備を重視した布陣で、小幡が打撃好調なのも明るい材料だ。主軸たちもきっちり仕事をしている。4日の広島戦(マツダ広島)は3点のリードを追いつかれたが、9回二死二塁の好機で大山が相手守護神・栗林良吏の直球を振り抜き、勝ち越しの中越え適時二塁打。この一打が決勝点になった。

浸透している岡田野球


 平田勝男ヘッドコーチは、シーズン前に週刊ベースボールのインタビューでこう語っている。

「岡田監督は、阪神では15年ぶりの現場復帰です。その間、評論家として阪神をずっと見てきた中で、いろいろなことを感じてきた。『もっとこうすればいいのに』『こんなふうにやればもっと勝てる確率が上がるのに』というようなことを思ってきたようです。それをこれからやっていこうとしている。それをわれわれコーチ陣が理解して、チームに浸透させていく。それをまとめていくのが、ヘッドコーチの役目です」

「前回の監督のときもそうでしたが、選手には厳しいことは言いません。今回も同じですよ。例えば無死一、二塁の場面で『ゲッツーを打ってもいいんや。そのあとのバッターは二死三塁となって、逆に打ちやすいんやから』と。そういう岡田野球の思考も直接言ってくれる。その言葉の裏には、選手たちには持っている力をすべてグラウンドで出してほしい、という思いがある。その気持ちが強いのだと思いますね」

 開幕して間もないが、岡田野球はナインの間で確実に浸透している。開幕4連勝を飾り、いずれも5得点以上をマーク。今年の阪神は違う。

写真=BBM
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