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【高校野球】元プロ捕手を父に持つ横浜・椎木卿五 価値ある2打席連続本塁打、好リードで桐光学園コールド撃破に貢献

 

指揮官もつかめない「面白い性格」


横浜高の七番・椎木は桐光学園高との3回戦で、同点の4回裏に勝ち越し2ランを放った


 結果よりも、勝利までの過程の充実ぶりに、指揮官はニンマリだ。

 横浜高は桐光学園高との神奈川県大会3回戦(4月18日)を7回コールド(10対2)で勝利した。5本のアーチで9得点を挙げた試合後、村田浩明監督は2打席連続本塁打を記録した椎木卿五(2年)の活躍ぶりについて、こう語った。

「打撃もそうですが、捕手として成長している。(昨晩は22時の)消灯後にビデオを見ていた。キャッチャーらしくなってきた。それにともない、打撃も良くなっている」

 元プロ野球選手で、捕手だった椎木匠氏を父に持つ。22年4月、横浜高に入学した椎木は1年夏の甲子園でベンチ入りし、同秋からは正捕手を任されている。屈指の好カードとなった桐光学園高との3回戦では、1対1の3回裏に勝ち越し2ランをバックスクリーンへ放った。4回裏には左翼芝生席へ。ともにストレートを、上からたたいた。第1打席は三振。村田監督からの「腰が引けているよ」とのアドバイスにより修正。第2、第3打席はで豪快なスイングを見せた。140キロ超を投げ込む県下屈指の好右腕である桐光学園高・中平陽翔(3年)から価値ある2本塁打だった。

5回裏には2打席連続アーチ[高校通算5号]で生還。守ってはエース左腕・杉山[左]を好リードで2失点に抑えた


 打撃だけでなく、守りのカナメとしてプロ注目左腕・杉山遙希(3年)を勝利へ導いたのも達成感があった。決戦前夜、桐光学園高の各打者を丸裸にし、先輩を好リードした。

「足りないと思って、一人で23時ころまで研究しました。成果ですか? 出ましたね」

 現役時代に捕手だった村田監督は、教え子の立派な姿に目を細めつつも、こう言った。

「面白い性格なんです。僕もつかめない(苦笑)」

 横浜高で涌井秀章(現中日)とバッテリーを組んだ百戦錬磨の元司令塔・村田監督でさえも、掌握が難しいという個性的なキャラクター。相手の心理を読むことが求められるキャッチャーからしてみれば、これ以上の褒め言葉はない。

 勝負の世界は、結果がすべて。しかしながら、公式戦までの準備を怠らない椎木の献身的な姿勢に、指導者としては、これ以上の喜びはなかった。横浜高は昨秋、県大会優勝も、関東大会準々決勝敗退で、今春のセンバツ出場を惜しくも逃した。夏本場へ向けて2年生捕手・椎木が確立した横浜高は、足元が揺らぐ心配は一切なくなった。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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