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パ・リーグで打率3割は4人のみ…「投高打低」進み、2割台で首位打者も?

 

昨年パの打率3割達成は2人


4月21日現在、パの首位打者は打率.317の森だ


 まだ春先だが、パ・リーグで投高打低が顕著になっている。打率部門のリーグトップは森友哉(オリックス)で打率.317。柳田悠岐牧原大成(ソフトバンク)、藤原恭大(ロッテ)と打率3割以上をマークしている選手は4人のみだ。

 もちろん、このままではいかないだろう。気温が上がれば打者の状態が上向く。特に夏場は投手陣が疲労で調子を落とし、一流と呼ばれる打者たちは打率を一気に上げる。ただ、現在のパ・リーグで打率3割をクリアするのは難易度が非常に高い。昨年も打率3割以上をマークした選手は2人のみ。首位打者に輝いた松本剛(日本ハム)が打率.347、2位の吉田正尚(当時オリックス、現レッドソックス)が打率.335、3位の島内宏明(楽天)は打率.298だった。

 ある球団の首脳陣は「野球の質が変わってきた側面もある。メジャーの影響で、打率よりも出塁率や長打率を重視する考え方が日本野球にも浸透してきている。打率3割にこだわらない選手が増えているのも一因にある」と指摘する。

「あまりその数字にこだわりはない」


 2021年に96打点で打点王、昨年に161安打で最多安打のタイトルを獲得した島内は週刊ベースボールのインタビューで、こう語っている。

「もちろん3割を打てるに越したことはないですけど、あまりその数字にこだわりはないんですよね。3割打ってから言えと思われるかもしれないですけど(苦笑)。ただ僕にとっては3割よりも、『2割、ホームラン50本』のほうが魅力的ですね。そういう意味で来年は最低でも今年よりはホームランを多く打ちたいです。ホームランじゃなくても、長打を多く打ちたい。内野の頭を越えるような。昨年に比べるとOPS(出塁率と長打率を足し合わせた数値)など落ちた数字も結構あるので、そこは改善していきたいですね」。

 打者にとって、打率3割をクリアすることは1つのステータスだった。この考えが変わりつつあるのかもしれない。

セは打率3割以上が9人


 一方で、セ・リーグの打撃成績は対照的だ。リーグトップの宮崎敏郎(DeNA)が打率.473、2位の秋山翔吾(広島)が打率.429のハイアベレージで、3割を超える選手たちがベストテンのうち9人を占める。

 スポーツ紙記者は、「パ・リーグは各球団が先発、救援に150キロを超える投手をそろえており、セ・リーグよりも球場が広いのでパワーで押し切れる部分がある。毎年3割を超える打率をマークしていた吉田がレッドソックスに移籍したし、打率2割台で首位打者の可能性もゼロとは言い切れない」と指摘する。

 パ・リーグの投手成績を見ると、「投高打低」を如実に表している。リーグトップの佐々木朗希(ロッテ)が開幕3試合20イニング連続無失点で防御率0.00。3試合登板で2勝をマークしている高橋光成が防御率0.39で続く。3位以下もメルセデス(ロッテ)、早川隆久(楽天)、今井達也(西武)、大関友久(ソフトバンク)、平良海馬(西武)と防御率1点台の投手が5人。規定投球回に到達していないが、オリックスの先発陣も驚異的な安定感を誇る。20、21年と投手5冠に輝いた山本由伸は防御率0.75、左腕エースの宮城大弥が防御率0.66、今年一軍デビューを飾った山下舜平大が防御率0.87、さらに、救援から先発転向した藤井皓哉(ソフトバンク)も2試合登板で12回2/3を投げて無失点と防御率0点台の投手たちがゴロゴロいる。

 パ・リーグの歴代首位打者を見ると、1976年の吉岡悟(太平洋)が打率.309と最も低い数字でタイトルを獲得しているが、打率2割台の首位打者は戦後は1人もいない。ペナントレースは始まったばかり。パ・リーグの巧打者たちは意地を見せられるか。

写真=BBM
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