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【高校野球】「攻める姿勢を見ていただきたい」東海大相模の看板“アグレッシブ・ベースボール”を体現する及川将吾

 

ウエート・トレでパワーアップ


東海大相模高の主将・及川は横浜創学館高との神奈川県大会準々決勝で1回表に先制2点二塁打、2回表に右越え2ラン[写真]など4安打4打点と準決勝進出に貢献した


 忘れられない試合がある。昨夏の神奈川県大会決勝(7月27日)。東海大相模高は横浜高に0対1で敗退し、甲子園出場を逃した。当時2年生で二番・二塁で先発出場した及川将吾(3年)は、横浜高のエース左腕・杉山遙希(3年)に4打数無安打に抑え込まれた。

「あの悔しさは、忘れません。バント(ヒット狙い)が1本、決められず……。今度はしっかり打って、勝ちにつなげたい。打倒・横浜。杉山を打って、優勝したい」。同級生のライバルに、相当な闘志を燃やしている。

 及川は2年秋から主将となりチームをけん引も、秋の県大会は慶応高との準々決勝で敗退。1年秋の関東大会8強を受けた、翌春のセンバツは関東地区の補欠校。入学直前に優勝した2021年春のセンバツ以来、自身初の甲子園出場のチャンスは、3年夏を残すのみとなった。

 冬場は21年秋から母校を指揮する原俊介監督の指導の下で走り込み、ウエート・トレーニングに励み、パワーアップを図ってきた。

切れ目のない超重量打線


 今春の神奈川県大会で、練習の成果を発揮している。2回戦から準々決勝まで4試合で51得点。チーム本塁打は10本と強打を披露。横浜創学館高との準々決勝(4月30日)では4本塁打が飛び出し、16安打13得点で、6回コールド勝利(13対2)を収めた。

 何がすごいのかと言えば、準々決勝の先発オーダーで一番から七番まで7人(3年生・板垣拓心、3年生・松本ジョセフ、1年生・金本貫汰は2本塁打)が柵越えを記録。どこからでも長打が出る、文字どおり、切れ目のない超重量打線を形成している。

 準々決勝では主将・及川が火付け役となった。1回表無死一、二塁から先制の右越え2点適時二塁打を放つと、2回表無死一塁から右越え2ラン(高校通算28本塁打)。第3打席で内野安打と、サイクル安打がかかった第4打席は「(記録は)考えてなかったです」と、無心で打席に立ち、左翼線に落とす二塁打で4打数4安打4打点と大爆発した。

毎試合、すべてを出し切る


 本職は二塁手だが、チーム事情で今春は遊撃手を任されている。捕球時にはグラブに右手を添え、1プレー1プレーが丁ねいである。

「監督からは守備を期待されているが、自分は打撃が売り。結果で見せていきたい。二塁のほうが守りやすいですが、ショートはカナメなので、大事に守っていきたい」

 将来の夢は「プロ野球選手」だが「プロに近い大学に進学して、大学から行きます!」と目標は具体的。左打ちの内野手として、理想とする選手はおらず「自分がトップレベルになってやっていく」と、向上心旺盛である。

 試合後の取材。及川の声はかすれている。「出しまくりです(苦笑)」。チームリーダーとして毎試合、すべてを出し切っている。

 頂点まであと2勝。準決勝(5月5日)は準々決勝で横浜高に勝利した相洋高と対戦する。試合会場は、昨夏の県大会決勝で涙をのんだ横浜スタジアムだ。この春に圧倒的なインパクトを残し、夏の県大会につなげる。

 三番・遊撃手は「自分の攻める姿勢を見ていただきたい」と力強く語った。「基本、土台です」と言う東海大相模高の看板である「アグレッシブ・ベースボール」を体現していく。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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