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昭和ドロップ!

『昭和ドロップ!』いよいよ発売。定岡正二さんは昭和のプロ野球がなぜ熱かったのかについて「ミスターが太陽のように明るく輝いていたから」と言う/『昭和ドロップ!』

 

 定岡正二氏、篠塚和典氏、川口和久氏、槙原寛己氏の書籍『昭和ドロップ!』が5月2日(一部地域を除く)、ベースボール・マガジン社から発売されました。昭和に生まれ育ち、昭和、平成に輝いた4人が、巨人長嶋茂雄、青春の多摩川ライフなど、あのころのプロ野球を愛あり笑いありでたっぷり語り合う1冊です! これは不定期で、その内容の一部を掲載していく連載です。今回はわれらのサダさんからのメンバー紹介と、昭和のプロ野球がなぜ熱かったのかについてです

ミスターはいつも太陽みたいに輝いていた


『昭和ドロップ!』表紙


 こんにちは! ジャイアンツOBの定岡正二です。

 2020年から『週刊ベースボール』で連載している『昭和ドロップ!』が、このたび書籍になりました! メンバーは僕、篠塚、川口、槙原の4人です。今回は彼らの紹介をしてみたいと思います。

 読んでいただいた方は分かったと思いますが、僕ら4人は見事なくらいキャラが違います。

 篠塚は寡黙な男です。今はずいぶん話すようになりましたが、現役時代は、とにかくしゃべらない。あれだけヒットを打ちまくっているのに、言葉はポツン、ポツンとしか出てこない男でした。ただ、洞察力がすごくあり、優しくて、何よりマメです。ゴルフをするときは、1カ月、2カ月前から計画を立ててくれ、「何時にここへ来てください」と、僕らに細かい指示をしてくれます。川口も交え、3人でゴルフをすることが多いのですが、僕と川口は少し適当……いや、感覚派なので、すごく助かっています。3人の中では一番長い付き合いですが、ケンカしたことは一度もない。正反対の性格だから合うのかもしれないですね。

 川口はただ一人のサウスポーですし、ジャイアンツしか知らないほかの3人と違い、カープを知っているので、僕らにはない視点があります。あと社会人を経験しているからでしょうか、フットワークが軽いんですよ。調子に乗ってスチールアウトになるときも多いのですが(笑)、ピッチャーOBながら『昭和ドロップ!』の盗塁王と言っていいでしょう!

 最年少の槙原は、彼が巨人に入団してから僕が引退するまで、兄弟みたいにずっと一緒にいたかわいい後輩です。引退してから少し太ったんで、見た目はぼうっとしてますが、考え方は器用でスマートな生き方をしている男です。頭もすごくシャープですよ。性格は温厚で、僕は彼が怒ったところを見たことがありません。

 僕はどうでしょう。どう思いますか? 自分では分からないんで言ってください。えっ、独特の言葉力がある? 言葉力か、いいですね。ありがとうございます! 時々、びっくりするくらいセンスのあることを言う? それもうれしいな……。いやいや、時々じゃないでしょ! 

 ほかの3人は平成もプレーしていますが、僕の現役時代はすべて昭和です。別に昔がよかったと言いたいわけではありません。今のほうがトレーニング理論、技術は進化しています。ピッチャーの球速、バッターの飛ばす力も間違いなくアップしていると思います。大谷翔平君(エンゼルス)を筆頭に素晴らしい選手がたくさんいます。

 ただ、昭和のプロ野球には、ものすごい熱量がありました。泥臭いし、理不尽だし、合理性もないけど、とにかく熱かった。理由はたくさんあると思いますが、僕に関して言うなら、それは長嶋茂雄という太陽があったからです。

 ミスターは僕の人生の中の特別な存在です。現役のときは、監督だったミスターの一挙手一投足を見逃さないように、目が充血するくらいじっと見ていました。厳しかっただけじゃないですよ。この人のために俺たちは命懸けで戦うんだ、結果を出して喜んでもらい、笑顔を見たいと思っていたからです。僕だけじゃない。篠塚も中畑清さんも江川卓選手、西本聖も、1期目を一緒に戦った選手は、きっと同じ思いのはずですし、槙原、川口と2期目の選手もそうだと思います。

 不思議ですよね、親でもないし、身内でもない。神様というのも大げさだし、うまく表現はできないんですが、ずっとあこがれの存在、尊敬する存在であり、同時に一緒にいて、いろいろな刺激をいただける方でもあります。ジャイアンツのユニフォームを着ていたときだけではありません。ゴルフをしているときもそうでしたが、いつも目を離すことができない。その姿や言葉から元気と勇気をもらいました。

 今、体を悪くされ、リハビリをされていますが、直接、会うことができなくても、ミスターが一生懸命リハビリをやっているという話を聞くと、「俺も頑張らなきゃ!」と胸が熱くなります。力が湧いてきます。僕らは、ミスターが太陽のように明るく輝いていたから向かう先を迷わなかった。ミスターにあこがれ、ミスターのために頑張ろうと思って、ただただ、必死にやっていました。

 それがあのころのジャイアンツの熱量を上げ、たぶん、僕らより前の時代、ミスターが現役時代も含めてですが、相手チームの選手もまた、打倒ミスター、打倒ジャイアンツに燃えたんじゃないでしょうか。それに魅かれたファンも熱かったですよ! 当時の巨人戦は地上波で平均視聴率20パーセント以上でしたからね。(続きは、また、そのうちに)
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