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【大学野球】負ければ優勝が消滅する早大戦で勝利投手 法大・尾崎完太は同3回戦に向け「気持ちをつくって、勝ちます!」

 

「惚れ惚れするピッチャー」


法大の150キロ左腕・尾崎は早大2回戦[5月8日]で先発して5回3失点。今季2勝目で、東京六大学リーグ戦通算5勝目を挙げた


 負ければ、法大のリーグ優勝が消滅する。早大2回戦(5月8日)で先発した150キロ左腕・尾崎完太(4年・滋賀学園高)は、立ち上がりから制球が定まらなかった。

 1回裏、3四球を与え、2暴投で満塁のピンチも、失点を許さなかった。2回以降も高めに抜けるボールがあったが、何とか立て直してきた。

「リリースを前にしようと気にし過ぎていました。(試合前の)キャッチボールから球が浮く。手先だけに、考えがいっていた。下半身が使えていなかったんです」(尾崎)

 味方の大量援護があり、法大は5回表までに8対0とリードを広げた。尾崎は5回裏に3失点で、この回で降板した。しかし、継投は難しい。法大は早大の猛反撃をしのぎ、9対6で逃げ切った。ヒヤヒヤの展開に試合後、法大・加藤重雄監督は交代について明かした。

「3点取られたから代えたわけではなく『これは(3回戦も)いける』と。明日に備えさせるために代えた。そこを相手に見透かされたのか……何とか勝つことができました」

 法大は1回戦で早大の先勝を許し、後がない。2回戦で落とせば、元も子もないが、一方でベンチとしては、3回戦も見据えないといけない。1勝1敗のタイ。法大は首の皮一枚、つながった。3回戦の先発は157キロ右腕・篠木健太郎(3年・木更津総合高)が予想されるが、当然、総動員である。もちろん、尾崎はブルペン待機する。早大2回戦は116球。尾崎は「スタミナは全然、余裕があります」と、最上級生として頼もしい発言が聞かれた。

 NPB通算117勝の早大・小宮山悟監督は尾崎について「横から見ているだけですが、早川(隆久、早大−楽天)と質が似ている。真っすぐ、カーブ、スライダーと言うことがない。惚れ惚れするピッチャー」とべた褒め。

 法大3回戦の先発は1回戦で勝利投手となり、2回戦でベンチを外れた背番号11のエース右腕・加藤孝太郎(4年・下妻一高)が予想される。早大は開幕5連勝(勝ち点2)から、この法大2回戦が今季初黒星。首位を走る勝ち点3の明大を追う意味でも、3回戦は「大一番」と、小宮山監督は必勝態勢を敷く。

 法大にとっても負ければ、リーグ優勝の可能性がなくなる一戦。尾崎は静かに言った。

「この1日で(技術的に)どうにかなるものでもない。気持ちだけつくる。治療をして体の張りを取って、気持ちをつくって、勝ちます!」

 勝ち点勝負となる1勝1敗の3回戦こそが、「対抗戦」の東京六大学の醍醐味だ。早大と法大。意地と意地の激突から目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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