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夢の打率4割なるか 34歳で全盛期のDeNA・宮崎敏郎に「打撃技術の次元が違う」の声が

 

広角に打ち続ける安打


5月25日現在、4割超の打率をマークしている宮崎


 異次元の勢いで打ち続けているヒットメーカーがいる。DeNA宮崎敏郎だ。開幕から34試合連続出塁するなど、打率.402、9本塁打、27打点。広角に安打を打ち続けてリーグトップの打率を独走するだけでなく、本塁打も両リーグ最多。打点はリーグトップの阪神佐藤輝明を3差で追いかける3位タイ。今後の活躍次第で三冠王も十分に狙える位置につけている。

 2017年に打率.323で首位打者を獲得するなど、シーズン3割を5度マーク。宮崎の強みはコンタクト能力の高さだ。規定打席に到達した17年以降で、21年の53三振が自身最多と空振りが少ないことで知られる。脱力した構えから左足をゆっくり上げ、小さいステップ幅でコマのように体を回転させる。150キロを超える直球に差し込まれず、緩急にも崩されない。

 巧打者であることは間違いないが、今季の活躍は目を見張るものがある。野球評論家の堀内恒夫氏も5月中旬に週刊ベースボールのコラムで、「攻撃力に関しては、主軸の宮崎敏郎の打率が、開幕から約1カ月が経過しても4割を超えているじゃないか。もちろんベストテンのトップで、続く2位の広島秋山翔吾をはるかに上回っているからね。宮崎は6年前の17年に打率.323で首位打者を獲得したんだけどね。しかし、今季の宮崎は『そんなに打てるバッターだったのか!』と刮目してみたくなるほど覚醒した」と評価する。

 他球団のスコアラーは、「ファーストストライクをきっちり捉えて、早いカウントで勝負できている。首脳陣が時折スタメンから外すなどコンディションを重視した起用法をしていることも、良い形で作用している。あとは三番という打順ですね。四番に牧秀悟が控えているため簡単に歩かせられない。かといってストライクゾーンで勝負すると、高い確率でヒットゾーンにはじき返される。吉田正尚(レッドソックス)もそうですけど打撃技術の次元が違う」と頭を悩ませる。

NPB最高打率はバース


打率.389をマークした86年の阪神・バース


 シーズンは100試合以上残っているが、打率4割を超える打率に夢が広がる。注目されるのは、NPB初の4割打者の誕生だ。

 球史に名を残す強打者たちも、この高い壁を乗り越えられなかった。NPB歴代最高打率は86年に阪神のランディ・バースが樹立した打率.389。7月8日に打率.407まで上昇し、9月終了時点まで打率.394と射程圏内だったが、あと一歩届かず。89年には巨人ウォーレン・クロマティが当時のシーズン規定打席に達した時点で打率4割を超えていたが、試合に出続けることを決断して打率.378と届かなかった。日米通算4367安打の天才打者・イチロー(元マリナーズほか)も00年に102試合終了時点で打率.392と打ちまくったが、右脇腹を痛めて戦線離脱した影響で歴代2位の打率.387だった。

怖いのは故障離脱のみ


 宮崎は3、4月に打率.444、4本塁打、13打点で月間MVPを獲得。プロ11年目で意外にも初の受賞だった。ここまで37試合に出場してマルチ安打を16度、猛打賞を4度記録。だが、相手バッテリーのマークも当然厳しくなる。23日からの巨人3連戦は無安打に封じ込まれた。

 今月20日のヤクルト戦(横浜)では、7回に小澤怜史から腰付近に死球を受け、マウンドに怒りの表情で歩を進めた後に一塁へ。DeNAは6回に牧秀悟が木澤尚文から死球を受け、7回にも佐野恵太石山泰稚から右膝に死球を受けため、宮崎が死球を受けると両軍の選手、首脳陣がグラウンドに飛び出して緊張感が漂った。

 34歳とベテランの域に入ったが、全盛期を迎えている。怖いのは故障による戦線離脱だけだろう。

写真=BBM
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