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育成出身のセデーニョが大ブレークの予感 他球団から「ブーマーと重なる」の声が

 

止まらない快音


快打を連発してチームに欠かせない存在となっているセデーニョ


 リーグ3連覇に向け、首位をキープするオリックス。攻守の大黒柱として奮闘していた森友哉が左ハムストリング筋損傷で今月2日に登録抹消されて戦力ダウンが懸念された中、救世主といえる活躍を見せているのがレアンドロ・セデーニョだ。

 今年から育成枠で入団し、ウエスタン・リーグで打率.378、1本塁打、14打点の好成績をマークして5月19日に支配下昇格。すぐに一軍に呼ばれたがこの時は本来の力を発揮できず、2週間も経たずにファーム降格となった。だが、6月24日に一軍に再昇格すると、目を見張る活躍を見せる。「四番・指名打者」でスタメン出場した7月4日の楽天戦(東京ドーム)で、2回に田中将大からバックスクリーンに来日アーチを放つなど2安打3打点と勝利に貢献。9日の西武戦(京セラドーム)でも3回一死一、三塁の好機で松本航の直球を左中間スタンドへ2号3ランを叩きこむなど5打点をマークした。

 快音は止まらない。11日のロッテ戦(京セラドーム)では、3回二死満塁でロッテのC.C.メルセデスのカーブを逆方向の右翼スタンドへ先制の3号満塁アーチ。育成枠で入団した外国人選手のグランドスラムは球団史上初の快挙だった。翌12日の同戦もチームは敗れたが、初回二死一塁で佐々木朗希のフォークをきっちり捉え、左中間フェンスの上段部に直撃する先制の適時二塁打で球場をどよめかせた。

大活躍する可能性


 7月は月間打率.448、3本塁打、14打点。他球団のスコアラーはセデーニョをこう分析する。

「一過性の勢いでないですね。長打力はあるが振り回すタイプでなく、きっちりコンタクトする。体に近い内角の球をうまく打つが、逆方向にもホームランを打てるので外角一辺倒の配球というわけにもいかない。厄介な打者ですよ。選球眼が良く、ボール球をきっちり見極めるので打率も落ちない。打撃スタイルが元阪急のブーマー・ウェルズと重なりますね。日本野球で大活躍する可能性を秘めた助っ人だと思います」

柔らかいバッティングに長打力も兼ね備えたブーマー


 阪急時代からのファンで、史上最強助っ人の呼び声が高いブーマーを知らない人はいないだろう。来日2年目の84年に打率.355、37本塁打、130打点で外国人選手初の三冠王を獲得。リーグ優勝に大きく貢献し、MVPに選出された。シーズン40本塁打を3度マークした長距離砲だったが、ミート能力も高かった。84、89年と2度首位打者を獲得、4度の最多安打をマーク。勝負強い打撃でダイエー時代を含め、4度の打点王を獲得している。力強さと柔らかさを兼ね備えた打撃で、状況に応じて逆方向に軽打するときも。フォア・ザ・チームに徹する姿勢でチームへの貢献度が非常に高かった。NPB通算打率.317は4000打数以上で落合博満を上回り、右打者の最高成績だ。

24歳と伸びしろ十分


 セデーニョはメジャー経験がなく育成枠で入団したが、ブーマーも来日当時は決して鳴り物入りではなかった。メジャーでは47試合に出場して打率.228、0本塁打、8打点。阪急にともに入団したバンプ・ウィルスはメジャー6年間で通算196盗塁と実績十分のリードオフマンだったため注目度が高かったが、日本で成功するかは蓋を開けてみなければ分からない。ブーマーが三冠王を獲得した84年にパンプは首脳陣と衝突を繰り返し、打率.232、4本塁打、24打点。同年限りで退団した。

 ベネズエラ出身のセデーニョは24歳とまだ若く、伸びしろ十分だ。本塁打を打ったあとに笑顔を両手のハートマークで包むパフォーマンスを見せるなど、ムードメーカーとしてもチームを盛り上げている。日本語を覚えることにも熱心な勉強家で、異国の地で成功したい思いが伝わってくる。相手バッテリーも当然研究してくるが、その壁を乗り越えて打ち続けられるか。キーマンになることは間違いない。

写真=BBM
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