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他球団からトレードに驚きの声 ヤクルト移籍の阪口皓亮は「先発で大化けする可能性」が

 

三振奪取能力が高い右腕


ヤクルト入団会見では「不安よりワクワクが大きいです」と語った[球団提供]


 シーズン中に同一リーグで異例のトレードに、驚きの声が上がった。DeNA阪口皓亮とヤクルト・西浦直亨のトレードが7月26日に成立したことを両球団が発表。内野手の選手層を厚くしたいDeNAと、手薄な先発陣の補強に動いたヤクルトの思惑が一致する形となった。

 他球団のスコアラーは、驚きを口にする。

「トレードで名前を見た時はびっくりしました。ファームで見てきましたが、阪口は潜在能力が高い。先発で大化けする可能性があると思います。今年は思うような結果を残していませんが、球に力があり三振奪取能力が高い。馬力があるし、まだ23歳と若い。ヤクルトで十分にチャンスがあるでしょう」

 北海高からドラフト3位でDeNAに入団。村上宗隆(ヤクルト)、清宮幸太郎(日本ハム)、安田尚憲(ロッテ)と同世代だ。将来のエース候補として期待され、「エースとして完投できる投手になりたい。3年以内に新人王を取り、いずれは沢村賞を目指したい」と野心をみなぎらせていた。身長188センチの長身から投げ下ろす154キロの直球に、縦に大きく割れるカーブ、左打者の内角に食い込むカットボールで打者をねじ伏せる。イースタン・リーグで20年に最高勝率(.800)、昨年は最多奪三振(91奪三振)を記録するなど、ファームでは己の力を証明していた。

今季は一軍登板なし


 三浦大輔監督にとっても印象深い投手だろう。監督就任初年度の21年は開幕から2分けを挟んで6連敗とシーズン初白星が遠かった。9試合目の先発に抜擢したのが阪口。5回3安打無失点と踏ん張り、プロ初白星でチームを救った。勝利の瞬間にはベンチで涙を流す姿が。ウイニングボールを握りしめ、「女手一つで育ててくれた母に、感謝も込めてプレゼントできればいいかなと思います」と喜びをかみしめた。

 昨年は一軍登板が1試合のみ。昇格予定の時に雨で登板が流れる不運もあった。阪口は週刊ベースボールの取材に、「どう振り返っても悔しさしか残らない。右肩上がりに行くと思っていたものがいきなりガクッと下がったので、自分に失望した」と悔しさを露わにしていた。巻き返しを誓った今季だが、一軍登板はなし。イースタン・リーグでリリーバーの役回りで0勝3敗1セーブ、防御率6.00だった。思い描いた投球ができていないが、30イニングを投げて30奪三振と奪三振能力は相変わらず高い。ヤクルトは伸び悩んでいる右腕に大きな可能性を感じたのだろう。獲得に白羽の矢を立てた。

大きなプラスアルファに


 21、22年とリーグ連覇を飾ったヤクルトだが、今年は5位に低迷している。28日のDeNA戦(神宮)は2点を追いかける6回に青木宣親の3号右越え3ランで試合をひっくり返したが、セットアッパーの清水昇が8回に2点を奪われて逆転負け。5連敗で借金が15にふくらんだ。先発陣を見ると、小川泰弘が4勝7敗、高橋奎二が4勝6敗、サイスニードが5勝5敗、ディロン・ピーターズが4勝3敗、石川雅規が2勝5敗。立て直しを図るため、新外国人のエルビン・ロドリゲスを獲得し、ファームで好投を続けていた育成契約の山野太一が支配下に復帰した。新たに加わった阪口が先発ローテーションに食い込む活躍を見せれば、チームにとって大きなプラスアルファになる。

 今年は石川慎吾(ロッテ)、宇佐見真吾(中日)、郡司裕也(日本ハム)を筆頭にシーズン途中にトレード移籍し、新天地で活躍するケースが目立つ。環境を変えることは、野球人生の大きな転機だ。阪口も化けるか。

写真=BBM
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