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雨のち晴れがちょうどいい。

「30歳を超えるころから、目標を聞かれると『オヤジが死んだ年齢を超えることです』と言っていました」元中日-西武-千葉ロッテの名外野手・平野謙さん/著書『雨のち晴れがちょうどいい。』

 

人生観に大きな影響


表紙


 現役時代、中日ドラゴンズ西武ライオンズ、千葉ロッテマリーンズで活躍した外野守備の名手・平野謙さんの著書『雨のち晴れがちょうどいい。』が発売された。

 両親を早くに亡くし、姉と2人で金物店を営んでいた時代は、エッセイストの姉・内藤洋子さんが書籍にし、NHKのテレビドラマにもなっている。

 波乱万丈の現役生活を経て、引退後の指導歴は、NPBのロッテ、北海道日本ハム、中日をはじめ、社会人野球・住友金属鹿島、韓国・起亜タイガース、独立リーグ・群馬ダイヤモンドペガサスと多彩。

 そして2023年1月からは静岡県島田市のクラブチーム、山岸ロジスターズの監督になった。

 これは書籍の内容をチョイ出ししていく企画です。今回は6歳でお父さんを亡くした話のあとです。



 うちは名古屋市内で金物屋『平野金物店』をやっていて、オヤジが死んだあとは、おふくろが一人で切り盛りしていました。

 オヤジの治療費や、詳しい事情は知りませんが、一緒に暮らしていた祖父母が、オヤジが死んだあとで家を出てもらった際、借金をしてまでお金を渡したこともあったらしく、資金繰りは大変だったようです。

 過労とストレスからでしょう。胃がんになり、僕が小学6年生のときに亡くなりました。43歳です。最後は父親と同じで入院生活になり、僕も付き添いで病院に泊まって、そこから学校に通ったこともあります。

 2人の死は、僕の人生観に大きな影響を与えました。「人は簡単に死ぬのだな」と刻み込まれたと言えばいいのでしょうか。

 ですから、ずっと「将来××になりたい」とか、未来を語るのが嫌というか、できませんでした。どうしても「でも、死んでいるかもしれないな」と思ってしまうのです。

 30歳を超えるころから、目標を聞かれると、「オヤジが死んだ年齢を超えることです」と言っていました。

 みんな冗談と受け取って笑っていましたが、結構、マジメにです。「自分も2人と同じくらいの年になったら死ぬんじゃないだろうか」とずっと思っていました。

 う〜ん、少し暗い話になってしまいましたね。僕が生い立ちを話すと、半分くらいの人が「大変でしたね」と驚き、半分くらいの人は「知っていますよ」と言います。

 なぜかは、もう少し読み進めてください。

※著書発売を記念し、8月7日、都内西荻窪『今野書店』で平野謙さんのトークショー&サイン会を開催します(16時開始)。暑い中ですが、ご興味のある方は是非!
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