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オリックスの「陰のMVP」は年俸Cランク 「複数球団でFA争奪戦」の可能性が

 

下位打線のポイントゲッター


7月22日の日本ハム戦ではサヨナラ本塁打を放った若月


 首位を快走するオリックスで、「陰のMVP」と言ってよいだろう。若月健矢が、戦線離脱した森友哉の穴を補ってあまりある活躍を見せている。

 ハイレベルな捕手を2人そろえているチームは強い。森が左太もも裏筋損傷で7月2日に登録抹消されて以降、若月が21試合中20試合で先発マスクをかぶり、12勝8敗と勝ち越し。自慢の守備だけでなく、打撃でも打率.289、4本塁打、11打点と下位打線でポイントゲッターになっている。
 
 7月22日の日本ハム戦(ほっと神戸)で、同点の9回に宮西尚生の145キロ直球を右翼席に運ぶサヨナラ弾。プロ10年目で初のサヨナラアーチだった。捕手でも「ブルペンデー」で投入された6投手を好リードで牽引した。

 29日の日本ハム戦(エスコンF)では、2回無死一、三塁で左翼線に運ぶ先制の適時二塁打。走塁でも魅せた。2点目を追加してさらに一死三塁。山足達也の遊ゴロに、三塁走者の若月が挟殺プレーで三本間にはさまれたが、伊藤大海のタッチを巧みにかわすと、本塁にヘッドスライディング。一度はアウトと判定されたが、リプレー検証でセーフに。この回の3得点で試合の主導権を握り、連敗を3で止めた。

 8月4日の西武戦(ベルーナ)はサヨナラ負けを喫したが、1点差を追いかける8回に先頭打者で中堅フェンス直撃の三塁打を放ち、この回に逆転の流れを呼び込んだ。

森の加入も前向きに


 2021、22年のリーグ連覇を支えたが、今年は西武から同学年の森がFAで移籍。強力なライバルが加入することで出場機会が減少する危機だったが、若月はチーム全体のレベルアップ、自身の成長に向けて前向きに捉えていた。

 今年2月に週刊ベースボールのインタビューで、「友哉が打席に立っていたとき『昨年は、こうやって攻めていたよ』と言ったり、(トレードで移籍した石川)亮からは『日本ハムでは若月のリードに対するミーティングはこうしていた』ということも言われたり。他球団というか、外の眼を知ることは僕自身もとても勉強になっていること。考えの幅が広がるというか、新しい発見もあって面白いんですよね」と語っている。

 縁の下の力持ちとして支えてきた男は、捕手というポジションにこだわりがある。「昨年、日本一になった試合の最後(9回)とか、完封したときとか。チームが勝って、ピッチャーの笑顔が見られたときが最高の瞬間。それが一番、キャッチャー冥利に尽きるんです。そういう時間があるから、キャッチャーはやめられない。だから、もっとうまくなって試合に出たいんです」と熱弁していた。

3連覇に向けてどう起用されるか


 若月が攻守に活躍することで、新たな布陣が実現する可能性が出てきた。一軍復帰を目指す森が今月2日のウエスタン・広島戦(由宇)に「二番・右翼」でスタメン出場。外野を守るのは7年ぶりだった。森の体に掛かる負担を考慮しての起用法とみられるが、外野で起用できれば、捕手・若月、指名打者・セデーニョと3人が同時にスタメンで出場という布陣が実現する。

 順調にいけば今シーズン中に国内FA権を取得する。若月の今季推定年俸は4800万円。スポーツ紙記者は、「守備面は球界トップクラス。打撃が課題だったが、昨年から確実性が格段に上がっている。実力を考えれば年俸が格安に感じる。人的補償のないCランクで、欲しくない球団のほうが少ないのではないでしょうか。FA権を行使することになれば、複数球団が獲得に名乗りを上げるのは間違いない」と評価する。

 今はリーグ3連覇に向け、勝ち続けることしか考えていないだろう。中嶋聡監督が勝負の夏場で、若月と森をどのように起用するかも注目される。

写真=BBM
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