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【大学野球】早大野球部がベーマガスタジアムで夏季キャンプ 池田記念美術館を訪問し歴史と伝統に触れる

 

早稲田大学野球部の神髄


早大野球部は8月9日、池田記念美術館を訪問した。左から熊田副将、小宮山監督、肥田新人監督


 早稲田大学野球部は8月7日から19日まで新潟県南魚沼市内のベーマガスタジアム(南魚沼市大原運動公園)で夏季キャンプを張っている。

 9日には小宮山悟監督以下、部員約50人が同市内にある池田記念美術館を訪問した。

 同美術館はベースボール・マガジン社の創設者である池田恒雄氏(1989年野球殿堂入り)の強い志の下、1998年に開館。池田氏は1946年、同社の創業にあたり「学生野球の父」と言われた飛田穂洲氏(早稲田大学野球部初代監督、1960年野球殿堂入り)に原稿執筆を依頼した。

 池田氏は飛田氏のいる水戸へと何度も足を運び、承諾を得ることができた。1946年創刊の「ベースボール・マガジン」の巻頭言には、飛田氏の寄稿として『進め!野球の大道へ!』を掲載。池田記念美術館にはスポーツ展示室があり、飛田氏が著わした直筆原稿を展示。墨で記された和紙を広げると、約2メートルの長さになる。

池田記念美術館には早大野球部の初代監督・飛田穂洲氏が著わした直筆原稿が展示されている


 1901年創部の早稲田大学野球部の神髄が南魚沼市に置かれている縁もあり、昨年、初の夏季合宿を実施。今年は2回目の開催で、昨年に続いて、野球部員が同美術館に足を運んだ。

 池田記念美術館には飛田氏の直筆原稿のほか、早稲田大学野球部初代部長・安部磯雄氏(1959年野球殿堂入り)の色紙や、戦前に活躍した伊達正男氏(1989年野球殿堂入り)のユニフォームなど、同野球部関連の資料が並ぶ。学生たちは食い入るようにして、歴史と伝統に触れ合った。

8月12日には「全早稲田戦」


 2019年1月から母校を指揮する早大・小宮山悟監督と、学生のコメントは下記である。

小宮山悟監督
「早稲田大学野球部に在籍している以上、その立ち位置を含め、先達たちがどういう思いで野球をしてきたのかを理解しないといけない。今の学生たちが、どこだけ認識しているのかと言えば、やや欠如しているところがあるので、私たちが教育していかないといけません。学生たちは実際に足を運んで、目にして、何かを感じる部分があったと思います。早稲田大学野球部であることを自覚し、今回の池田記念美術館への訪問、南魚沼キャンプを一つのきっかけにして、この経験を今後の人生につなげてもらいたいと思います。今キャンプの目的は、今春までに3連覇している明治を止めること。優勝するつもりで練習していますが、相手のあることなので、思い描いた通りにいかないこともあると思います。最善を尽くして、負けることはやむを得ない。やれることを、しっかりやる。やり残しがないように、ということを訴えています」

熊田任洋副将(4年・東邦高)
「飛田先生の直筆の原稿を見て、歴史と伝統を感じることができました。先人の先輩方が築いてこられたからこそ、今がある。日ごろから何不自由なく野球ができることに、感謝しながら活動していきたいと思います。秋の目標はリーグ優勝。(今春まで東京六大学リーグ戦3連覇中の)明治は大学野球でトップを走り続けている。そこを倒さないと、六大学を制覇できない。明治に勝つところを基準に練習をしています」

肥田尚弥新人監督(4年・早稲田摂陵高)
「早稲田大学野球部の初代監督である飛田先生の功績に触れる機会に恵まれ、歴史を振り返る上で、良いきっかけになりました。野球は戦争を超えて消えることなく、戦後の再建に光をさし続けた、と。自分たちが野球ができることは、当たり前でない。日々のボール1球を扱うことに感謝しなければいけないことを再認識しました」

 なお、8月12日にはベーマガスタジアムにて「全早稲田戦」が開催される(11時プレーボール)。現役学生と早大から社会人企業チームへと進んだOBにより編成された選抜チームが対戦する、史上初の試みである。今年7月の都市対抗野球大会(東京ドーム)に出場した多くの卒業生も顔をそろえ、レベルの高い真剣勝負が期待される。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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