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今季スタメン2試合出場のみも…巨人・小林誠司に他球団が「高評価の理由」は

 

「打てる捕手」大城の存在


今季はここまで18試合の出場に終わっている小林


 首位・阪神と10ゲーム差。逆転優勝を狙う巨人は勝ち続けなければいけない。キーマンの1人が大城卓三だ。

 球界屈指の「打てる捕手」といってよいだろう。今季は中田翔が右太もも裏の肉離れで離脱した5月以降、五番に抜擢された。7月28日の中日戦(東京ドーム)では8回二死死二塁で、岡野祐一郎の144キロ直球を逆方向の左中間に運ぶ2ラン。今季89試合目で、自己最多タイの13本塁打に到達した。8月4日の広島戦(マツダ広島)では、3回に1点差に迫ってさらに二死満塁の好機で、野村祐輔の内角高めに食い込んでくるカットボールを右前に弾き返す逆転の2点適時打。スイングが力強くミート能力も高い。パワーと技術を兼ね備えた打者に進化している。

 打率.274、13本塁打、41打点をマーク。大城がアーチを打った試合は11勝2敗とチームが勢いづく。今季はプロ6年目で自身初の規定打席に到達する可能性が高い。捕手の守備でも99試合中、92試合でスタメンマスクをかぶり、リーグ2位の盗塁阻止率.417をマーク。若手中心の投手陣を好リードで引っ張っている。

 一方、かつての正捕手だった小林は厳しい立場に追い込まれている。今季の出場は18試合のみ。途中出場が多く、スタメン出場は2試合のみだ。打席に立つ機会が少なく、7打数無安打とまだヒットが出ていない。

課題はバッティング


 守備能力の高さに定評があるが、課題は打撃だ。正捕手だった2016年が打率.204、17年が打率.206と2年連続規定打席で最下位に。20年以降は打率2割に到達できないシーズンが続いている。球団OBの廣岡達朗氏は、昨年7月に週刊ベースボールのコラムで以下のように指摘している。

「小林は貧打を指摘されるが、彼は勘違いしているだけだ。バッターには、球に合わせにいくタイプと、球が来るのを待ってストライクなら打つタイプがいる。私が巨人1年目だったとき、先輩ショートの平井三郎さんはこう教えてくれた。『投手が球を持っているうちは投手ものだ。しかし、投手の手から離れた瞬間、その球は打者のものになる。そういうバッティングをしろ』。あのころの巨人は先輩が後輩にあれこれゲキを飛ばして、怒ったりなだめたりしながら一人前にしていった。いまの巨人打線はヤマばかり張っている。ヤマを張った球に合わせようとする。小林は特にそう。だから球に踊らされるのだ」

「ファンはホームランだろうと何だろうと勝てばいいと思っている。昔は勝つためにファンが選手を指導していた。『しっかり打て』などと怒った。だから、いい加減なプレーはできなかった。いまのファンはそこまで言うだろうか。私の連載を読んでファンが巨人を叱咤するようになれば、それは良い傾向だ」

小林がいるという安心感


 小林は今年が4年契約の最終年。背水の陣を迎えたシーズンで結果を出したい気持ちは、誰よりも強いだろう。他球団のスコアラーは違った見方を示す。

「小林は守備型の捕手。打撃の能力で大城と比べるのは酷です。小林には守備面で大城にない良さもある。投手の持ち味を引き出すリードで、全盛期より落ちたが強肩も健在です。今季は出場機会が少ないが、開幕から1度もファームに落ちていないのが、巨人の首脳陣の信頼の高さを物語っていると思います。大城に何かアクシデントが起きても、小林がいるという安心感がある。数字だけでは測れない価値がありますし、現場の評価が高い選手です」

 小林が途中出場する試合は、勝負を左右する重要な展開が多い。優勝争いが白熱する夏場も、出番に備えて最善の準備を尽くす。

写真=BBM
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