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防御率0.50…FA権取得の楽天左腕に「国内外で争奪戦間違いない」の評価が

 

史上最年少で200セーブ到達


クローザーとして球界屈指の力を発揮している松井


 球界を代表する守護神として長年活躍している楽天松井裕樹。今年も抜群の安定感を誇る。37試合登板で1勝2敗25セーブ5ホールド、防御率0.50。4月5日の西武戦(楽天モバイル)で、史上9人目の通算200セーブを達成した。27歳5カ月での大台到達は最年少記録だった。

 松井を支えるのは進化への飽くなき向上心だ。桐光学園高2年夏に甲子園出場し、1回戦・今治西高戦で大会史上最多の10連続奪三振、1試合22奪三振の新記録を樹立。2回戦・常総学院高戦でも19奪三振を挙げて41奪三振と、これまで板東英二が持っていた2試合の最多奪三振記録を更新した。手元で大きく曲がるスライダーは「消える」と称され、高校レベルを凌駕していた。

 ドラフト1位で楽天に入団以降も、三振奪取率の高さが大きな魅力だった。抑えに抜擢されたプロ2年目の2015年から3年連続30セーブをマーク。19年は38セーブで自身初の最多セーブ投手を受賞する。翌20年に自身の希望で挑戦した先発転向したが結果を残せず、守護神に再び配置転換に。試練も大きな糧にした。21年以降は落差の鋭いフォークを多投するようになり、投球の幅が広がった。同年は43試合登板で24セーブ、防御率0.63、昨年は32セーブで防御率1.92の好成績で2度目の最多セーブ投手に輝いた。

攻略困難のフォーク


 松井は週刊ベースボールのインタビューで、絶対的なウイニングショットになったフォークについてこう語っている。

「親指の位置を少し変えて、スピード感をよりストレートに近づけたというか。軌道だったり、球が出る瞬間の自分の中の力感というのが強く出せるようになったので、自分的にはそこが真っすぐに近づいたと感じています。それがバッターも真っすぐと思ってくれるボールに近づいてきているのかな、と勝手に思ってはいるのですが」

 今年7月の週刊ベースボール企画「12球団選手&首脳陣に聞く! 2023NPB現役投手最高の変化球は?」で松井のフォークは10位タイに選出された。伏見寅威(日本ハム)は「とても速いし落ちる。すごいスピン量の速い真っすぐを打とうとしたらフォークに手が出てしまう。逆にフォークをケアしていると真っすぐは絶対に打てない。途中まで軌道は一緒なので、最強のコンビネーションです」と脱帽する。

「メジャーでも間違いなく通用」


 今年4月には出場選手登録日数が9年に達し、海外FA権を取得。今季が4年契約の最終年でオフの動向が注目される。権利を行使した場合は国内外で争奪戦になる可能性が高い。メジャー挑戦の場合、唯一の懸念事項は国際舞台で目立った活躍を残せていないことか。17年のWBCは最年少選手で出場し、3試合の救援登板で無失点に抑えたが、世界一に輝いた今年3月のWBCではNPB球より滑りやすいとされるWBC使用球の制球に苦労し、本大会の登板は1次ラウンドの韓国戦のみ。だが、外国人選手の代理人を務める関係者は「メジャーでも間違いなく通用する」と太鼓判を押す。

「メジャーは高低を使って三振を取れるリリーバーが重宝されています。松井は140キロ台のフォークという武器に加えて、スライダーでも空振りを取れる。腕の出どころが見づらいフォームで直球も球速以上のキレがある。アメリカでも抑え、セットアッパーを十分に託せる投手です。メジャーに挑戦するとなった場合は需要が高い。争奪戦になることは間違いありません」

 プロ10年目の松井は、楽天に入団以来リーグ優勝という大きな目標を叶えていない。今年も借金を抱えて4位と苦しい戦いが続いているが、勝ち続けるしかない。絶対的守護神にリードした形でバトンタッチする試合をいかに作れるか。勝負の夏場も左腕を振り続ける。

写真=BBM
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