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2023夏の甲子園

【2023夏の甲子園】万雷の拍手の中、打席に立った慶応・清原勝児 父・和博は「素晴らしいスイングでした」

 

快音を残したがレフトフライ


NPB通算525本塁打を放った清原和博[元オリックスほか]の次男・勝児が春夏連続で甲子園の土を踏んだ


 7回裏、慶応高の攻撃。一塁のネクストサークルでは、背番号「15」が準備していた。

 北陸高との初戦(2回戦)。4万人が埋まったマンモススタンドの観衆はその時を待ち、固唾をのんで見守った。

「九番・小宅君に代わりまして代打・清原君」

 甲子園球場全体がドッと沸いた。右打者・清原勝児(2年)の登場である。父は歴代最多13本塁打を放った清原和博氏(元オリックスほか)。一塁アルプス席からは『若き血』の大応援だ。1ボール1ストライクから3球目のスライダーを強振。快音を残したものの、レフトフライに終わった。痛烈な打球に今度は、場内はどよめきが起きた。一塁ベンチへ引き揚げる際にも、万雷の拍手。「甲子園は清原のためにあるのか!」と、言っていいほど、独自の世界観を作り上げていた。

慶応高・清原は北陸高との2回戦を代打で登場。結果は左飛だった[写真=牛島寿人]


 今春のセンバツでは仙台育英高との初戦(2回戦)で先発出場(五番・三塁)し、安打を放った。この夏は控えの立場だが、ベンチで万全の準備を進めてきた。慶応は9対4で5年ぶりの夏1勝を挙げた。春は延長10回タイブレークの末のサヨナラ負けだっただけに、勝利の『塾歌』を気持ち良く歌った。

PL学園高[大阪]で歴代最多13本塁打を放った清原和博氏はスタンドで観戦した[写真=牛島寿人]


 ネット裏で観戦した父・清原氏は、大会本部を通じてコメントしている。

「夏の甲子園に来るのは、100回記念大会以来となります。あのときも感無量でしたが、105回大会でまさか息子が多くの高校野球ファンの皆さんから拍手をもらって、バッターボックスに入る姿を見られるとは。幸せですね。息子には感謝しかありません。アウトにはなりましたが、レフトへのいい当たりでした。よくバットを振ったと思いますし、素晴らしいスイングでした。春の選抜大会は背番号『5』でしたが、今夏は『15』。誰よりも本人が悔しいでしょうが、それでも懸命にチームに貢献しようという姿が見られます。僕の甲子園13本塁打より価値があると思っていますし、親として尊敬の念を抱いています。先の人生で必ず生きてくると思います。今日は3月に亡くなった父の髪の毛と数珠を持ってきました。父が一番喜んでいるのではないでしょうか。次戦も慶応高校らしく普段通りの野球をやって欲しいと思います」

 やはり、清原は夏の甲子園が似合う。
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