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【高校野球】慶応の新主将・加藤右悟は巻き込み型 「全部員で力を生み出し、しっかり勝ち切ろうと思います」

 

県大会初戦で2打席連続本塁打


舞岡高との神奈川県大会2回戦。慶応高・加藤は1回裏に3ランを放ち、飛び跳ねるようにして生還し、喜びを表現した


 貫録である。慶応高の新主将・加藤右悟(2年)が舞岡高との県大会初戦(2回戦、9月10日)で、2打席連続本塁打を放った。

 初回は3ラン、2回裏はソロ。左越えの2本のアーチは、ともに打った瞬間、それと分かる弾道だった。

「ホームランを狙っていたわけではないですが、打てて良かったです。」

 107年ぶり2度目の全国制覇を遂げた今夏の甲子園では、5試合中4試合で四番に座り、打率.278、5打点。3本の二塁打を放ち、長打力を見せつけた。新チームの公式戦初戦では「五番・捕手」を任された。

 四番ではない理由。森林貴彦監督は説明した。

「(チーム全体として)適性打順がまだ、分からない状況です。加藤は分かっている。他は模索中です。キャプテン、キャッチャー、四番では荷が重いかな、というのもあります」

 高校通算21本塁打。中学時代に在籍した県央宇都宮ボーイズでは、今夏の甲子園で優勝に貢献した右腕・小宅雅己(2年)とバッテリーを組み、全国優勝を経験している。旧チームでは渡辺憩(3年)が不動の正捕手。加藤は右翼を守りながら、練習のシートノックではマスクをかぶり、先輩の背中を見て、捕手技術を磨いてきた。公式戦でのマスクは、今春の県大会決勝(対相洋高)以来。「キャッチャーのこだわりはある。ずっと守りたかった」と、この秋は初めて背番号2を着けた。

2回裏には2打席連続本塁打。第1打席に続く、左越えの豪快な一撃だった


 また、右袖には主将マークを着けている。部員の投票により決まった。旧チームの主将・大村昊澄(3年)から焼き肉に誘われ「チームは主将で変わる。やるべきことを全力でやっていれば、ついてきてくれる」と、リーダーシップを学んだ。大村には抜群の発信力があったが、加藤は巻き込み型だ。「自分一人の力よりも、副将2人を交えて、皆でやっていくことを意識している」。秋の目標をこう語る。

「もちろん、県大会で優勝して、関東大会も勝つ。(来春の)センバツというよりも、(関東大会優勝校が出場する)明治神宮大会を目指しています。ただ、先を見るよりも、この(16日の3回戦までの)1週間の練習を頑張る。(甲子園決勝で投げた)鈴木(鈴木佳門)、小宅が残っていますが、2人が好投しただけでは勝てない。打撃陣が打っただけでも勝てない。スタンドのメンバーを含め、全部員で力を生み出し、しっかり勝ち切ろうと思います」

「KEIO全員野球」が、伝統として根づいている。この日も一塁内野席では一体感のある大応援を展開していた。今秋も慶応高の戦いから目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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