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来季の残留微妙も…巨人の新外国人右腕に他球団「劇的に良くなっている」と高評価が

 

開幕戦でのつまずき


今季、セットアッパーとして期待されていた新外国人右腕のヨアン・ロペス


 3年連続のV逸が決まった巨人。優勝争いに食い込めなかった一因が、不安定な救援陣だった。

 開幕前は8回にセットアッパーのヨアン・ロペス、9回に守護神の大勢で逃げ切る「勝利の方程式」を描いていたが、ロペスは8試合登板にとどまり0勝1敗、防御率4.05と期待を裏切る結果に。8月13日のDeNA戦(東京ドーム)で7点リードの9回に登板した際、宮崎敏郎の打球が左手首を直撃。病院で検査を受け、「左手三角骨骨折」で15日に登録抹消され、現在はリハビリに打ち込んでいる。

 2019年にダイヤモンドバックスで自己最多の70試合に登板し、2勝7敗1セーブ21ホールド、防御率3.41をマーク。最速160キロの直球とキレ味鋭いスライダーが武器で、昨オフに巨人に入団が決まるとWBCに出場するキューバ代表を辞退し、「不参加を決めるのは簡単ではなかったが、キャンプ初日からチームと一緒にプレーできることに満足している」と決意を口にしていた。春季キャンプから仕上がりの良さをアピールし、投球の幅を広げるためスプリットに磨きをかけた。オープン戦は8試合登板で無失点。万全の状態でシーズンに入ったが、来日初登板で出端をくじかれた。

 3月31日の開幕・中日戦(東京ドーム)。大勢のコンディション不良で1点リードの9回に登板したが、一死二、三塁のピンチを招いて降板。後続の投手が逆転を許したため黒星を喫した。4月4日のDeNA戦(横浜)は1回無失点に抑えたが、翌5日の同戦で3四球と制球が定まらず、二死満塁のピンチを招いて降板。翌6日にファームへ降格となった。5月9日に再昇格したが、12日の広島戦(東京ドーム)で延長10回に菊池涼介に満塁弾を浴び、わずか1試合の登板でファームに逆戻りとなった。

球団OBが説く中継ぎの重要性


 球団OBで野球評論家の堀内恒夫氏は、週刊ベースボールのコラムで救援陣の重要性を強調していた。

「新外国人投手を獲得した巨人に残された課題は、中継ぎ投手の役割分担だね。勝ちパターンと負けパターンの両方を確立しなければ、昨季の二の舞を踏むことになるだろう。昨季の5年ぶりとなるBクラスの4位という悪夢を払いのけるためにも、今季の巨人リリーフ陣は『一人一殺』の覚悟と気迫を持って臨んでほしい。落ちるところまで落ちた巨人は、ハングリー精神へ原点回帰をするしかないだろうね」

「『家貧しくて孝子顕(あらわ)れ、世乱れて忠臣を識(し)る』と言うじゃないか。今季から巨人のユニフォームを着る新外国人投手は、アメリカでは芽が出ずにマイナーとメジャーを行ったり来たりしたハングリー精神あふれる男たちだ。苦しいときに真の忠義の臣が現れる。逆境のときにこそ真価を発揮できる人材が現れると言うではないか。その格言に期待したいね」

3カ月の一軍登板で変化


 救援陣の台所事情が苦しい中で、ロペスは8月に一軍に戻ってきた。8日の阪神戦(東京ドーム)から3試合連続無失点。他球団のスコアラーは3カ月ぶりの一軍登板での変化に、驚きを口にしていた。

「春先に比べて劇的に良くなっている。直球は球速以上の速さを感じるし、スライダーとスプリットの精度も上がっていた。メジャーで実績がある投手だし、開幕戦で思うような結果を残せずナーバスになっていた部分もあったと思う。状態を上げていた矢先に故障してしまったけど、いい投手だと思いますよ」

 今季の推定年俸は1億1000万円プラス出来高払いで、力を発揮できなかったことを考えると来季の残留は微妙な状況だ。マウンドで躍動する姿をもう一度見たいが、NPBの舞台で叶うだろうか。

写真=BBM
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