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岡本和真、村上宗隆だけではない…「メジャーが高評価」のムードメーカーは

 

チームの価値ある1勝に貢献


今季も勝負強いバッティングを見せている牧


 セ・リーグで熾烈なクライマックスシリーズ(CS)進出争いが繰り広げられる中、DeNAの四番・牧秀悟が輝きを放っている。

 9月18日の阪神戦(甲子園)。6回に先制の中前適時打を放つと、その後に同点に追いつかれたが、1対1の延長10回二死一、二塁で右翼線に2点適時三塁打。この一打が決勝点となり、リーグトップの100打点に到達した。リーグ優勝を飾った阪神に2連勝し、敵地・甲子園でも5連勝。CSを勝ち抜けば甲子園で阪神と対戦するため、阪神に嫌な印象を抱かせる意味でも価値ある1勝だ。

直球に振り負けないバッティング


 今季は岡本和真(巨人)が自己最多の41本塁打を放ち、タイトル争いで独走。3年連続30本塁打をマークした村上宗隆(ヤクルト)と共に、メジャー球界の評価が高い。だが、牧も打撃技術の高さでは見劣りしない領域に達している。外国人選手の代理人を務める関係者は、こう証言する。

「牧はミートポイントが体に近く、手元で変化するカット系やツーシームに対応できる。直球に振り負けないし、逆方向にも長打を打てることが大きな魅力。WBCにも出場しましたが、メジャーの評価が高いNPBの強打者の1人です。まだプロ3年目ですし、これからどんどん成熟していく。さらに評価が高まっていくでしょう」

 新人の2021年は令和初のサイクル安打、セ・リーグ新人最多記録を更新する35本の二塁打を放つなど、打線を牽引する活躍でシーズン終盤は四番に。137試合出場で打率.314、22本塁打、71打点をマークした。他球団の警戒が厳しくなった2年目も出場した全135試合で四番に座り、打率.291、24本塁打、87打点をマーク。36本の二塁打はリーグトップで、得点圏打率.331はリーグ3位だった。菊池涼介(広島)、山田哲人(ヤクルト)ら球界を代表する選手をおしのけ、二塁で自身初のベストナインを初受賞した。

野球に向き合う熱い思い


 今季も133試合出場で打率.296、28本塁打、100打点、得点圏打率.367と相変わらず勝負強い。頼もしいバットマンは明るいキャラクターで、誰からも愛される。WBC制覇を飾った侍ジャパンではムードメーカーとして盛り上げた一面が注目されたが、野球に向き合う思いは熱い。ベースボール・マガジン社から発売された『侍ジャパン戦士の青春ストーリー 僕たちの高校野球3』で、牧が松本第一高在籍時に監督を務めていた櫻井正孝氏(現・長野俊英高野球部統括責任者)がこんなエピソードを明かしている。

「キャプテンがどちらかというと優しいタイプの選手だったんです。それで牧をちょっと呼んで“申し訳ないが、オマエが嫌われ役になって、みんなに檄を飛ばしてくれないか”と。そしたら冬のトレーニングでは少しでも手を抜いている選手がいると、同級生にも注意してくれました。特にレギュラーの選手に対しては“そんなことではダメだ。俺らがやらなくてどうする”と泣きながら怒ることもありました。そうやって周りに言う分、自分にも厳しかった。牧は短距離は速い方でしたが、長距離は得意な方ではなかったんです。それでも3000メートル走やインターバルでも、絶対に手を抜くようなことはありませんでした。そういう姿をチームみんなが見ていたので、牧の言うことには説得力があり、チームメートも素直に聞いてくれていました」

 DeNAは昨年が2位でリーグ連覇を飾ったヤクルトに届かず、25年ぶりのリーグ優勝を目指した今季も7月以降に失速し、阪神の独走を許す結果となった。負けず嫌いの牧も悔しさは当然あるだろう。だが、戦いは終わっていない。2位・広島と2ゲーム差に接近している。残り10試合で逆転すれば、本拠地・横浜スタジアムでCSファーストステージ開催の権利を得られる。白星を積み重ねるため、牧は打ち続ける。

写真=BBM
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