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オリックスはファームも逸材の宝庫 154キロの育成右腕に「モノが違う」と衝撃が

 

育成入団組も次々にブレーク


ファームで順調に進化を果たしている育成右腕・入山


 リーグ3連覇を飾ったオリックス。黄金時代の到来を感じさせる強さの源は、際立った育成能力だ。

「金の卵」たちが大化けしている。筆頭候補が絶対的エース・山本由伸だ。都城高では甲子園出場が叶わず、ドラフト4位でオリックスに入団。ドラフト1位で同期入団の今井達也(西武)、藤平尚真(楽天)、寺島成輝(元ヤクルト)に比べて注目度が高くなかったが、球界を代表する右腕に駆け上がった。山本が指名されたドラフトで6位入団の山崎颯一郎もリーグ3連覇で胴上げ投手になるなど、チームに不可欠なリリーバーに。救援陣は阿部翔太がドラフト6位、小木田敦也がドラフト7位と「下位指名組」の活躍が目立つ。

 育成入団組も次々にブレークしている。宇田川優希は昨年のシーズン途中に支配下昇格し、19試合登板で2勝1敗3ホールド、防御率0.81とセットアッパーで26年ぶりの日本一に貢献。今年3月のWBCでは侍ジャパンに選出されて世界一を経験した。シーズンは春先に状態が上がらず登録抹消されたが、6月に復帰後は直球の威力を取り戻し、41試合登板で4勝0敗17ホールド、防御率1.77をマーク。また、プロ6年目の東晃平も7月下旬以降に先発ローテーション入りし、6勝0敗、防御率1.71の好成績を残している。

大きな可能性を秘める二軍のクローザー


 スカウトの慧眼が光る中、ファームで「ネクストブレーク候補」として期待される右腕がいる。育成ドラフト3位で入団し、プロ1年目でファームの守護神を務める入山海斗だ。今季はウエスタン・リーグで41試合に登板し、4勝3敗13セーブ、防御率2.54をマーク。150キロ台の直球を連発して力でねじ伏せる投球スタイルは、大きな可能性を秘めている。

「身長177センチと体格に恵まれているわけではないですが、とにかく球が速い。モノが違いますね。荒れ球ですが、それも打者に的を絞らせない上で魅力になっている。フォークの精度を高める必要があるし、まだまだ課題が多いがそれだけ伸びしろが大きい」(スポーツ紙記者)

「彼には夢しかない」


 プロ入り前は無名の存在だった。東北福祉大でリーグ戦登板はわずか1試合のみ。ウエート・トレーニングで体重を増量したことで、投球の感覚に狂いが生じて制球難が解消できなかった。だが、オリックスのスカウト陣は、直球が最速154キロを計測する「未完の大器」に熱視線を送っていた。昨年3月に予定されていたプロアマ交流戦。試合は中止となったが、牧田勝吾編成部副部長はブルペンで入山のストレートを見て「ボールが違う」と感じたという。

 週刊ベースボールの取材で、牧田編成部副部長は「どうしても獲りたかった」、「実戦の機会が少なく、フィールディングや試合勘など細かいところはまだまだだが、彼には夢しかない」と熱い思いを口にし、「魅力的なのは、真っすぐのボールの強さとスピード。オリックスには球の速い投手が多くいますが、やはり勝負できる球があるというのは重要なこと。ウチで育成したいなと」と大化けに期待を込めていた。

 入山が本格的に投手に転向した高1のときに、夢中になって見ていた投手が大谷翔平(エンゼルス)だという。160キロを超える剛直球と、高度な変化球を操り三振の山を築く姿に魅了された。

 常時150キロを超える直球を投げ込める能力は、稀有な才能だ。ファームで加速度的に成長している姿を見ると、早期に支配下昇格し、来季は一軍のマウンドで衝撃的な活躍を見せる可能性が十分にある。入山海斗――。怪物の覚醒が楽しみだ。

写真=BBM
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