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愛すべき助っ人たち

楽天の助っ人キング。ムードメーカーとしての貢献も光ったウィーラー【愛すべき助っ人たち】

 

人間味でも魅せた男


楽天で勝負強いバッティングが光ったウィーラー


 21世紀に産声を上げた楽天。歴史が短いこともあって、助っ人の成績では他の11球団に比べると、どうしても数字の迫力には欠ける。助っ人だけで通算の首位打者を決めようにも、まず楽天だけで通算の“規定打数”となる4000打数を超えた助っ人は、まだいない。一方、本塁打や打点などの積み上げる数字であれば一目瞭然だ。通算の“本塁打王”も“打点王”も、2015年から20年のシーズン途中まで在籍したゼラス・ウィーラーとなる。

 およそ半世紀ほど前、昭和の時代に、特撮ドラマの主人公に似ていると“ライオン丸”の異名を取ったのは大洋のジョン・シピンだったが、平成になってアニメの登場人物、ハクション大魔王に似ていると親しまれたウィーラー。その昭和のアニメ『ハクション大魔王』はコミカルな作品だったが、ウィーラーも陽気な性格で、ムードメーカーとしての存在感も突出していた。ただ、そんなキャラクターだけで長きにわたってプロ野球でプレーを続けることは難しい。ウィーラーの打棒は、勝負強さが持ち味だった。

 ウィーラーのフル回転が始まったのは2年目の16年だ。打率3割は遠く、打撃に安定感があるとは言い難いものの、自己最多の88打点。翌17年は自己最多の31本塁打と、長打力が求められがちな助っ人としては目立った数字ではないとはいえ、82打点をマークしている。この2年間が楽天でのハイライトで、20年シーズン途中に巨人へ移籍したが、通算553安打も、楽天の助っ人では最多の数字だ。

20年途中から22年まで巨人でプレーした[左は原辰徳監督]


 巨人2年目の21年には、わずかに規定打席には届かなかったものの、打率.289をマーク。故障者が続出したシーズンということもあり、その打棒だけでなく、ムードメーカーとしての存在感は圧倒的だった。かつて、それこそ“ライオン丸”シピンが大洋から巨人へ移籍して暴れ回っていた昭和の昔は、ある種の“殺気”のようなものを漂わせていた助っ人は少なくなかった。時は流れ、日本人なら怖気づいてしまうような圧巻のパフォーマンスでチームやファンを盛り上げる助っ人が多くなってきた時代。ニックネームの傾向は変わらずとも、時代は変わってきた。

写真=BBM
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