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首都大学リポート

寺西成騎が7回6安打無失点で勝利投手に 日体大が明治学院大に連勝し勝ち点奪取【首都大学リポート】

 

満足のいく投球


勝ち点奪取に貢献した日体大・寺西成騎


【10月15日】一部リーグ戦
日体大2−0明治学院大
(2勝)

 秋季首都大学リーグ第7週2日目。朝から荒天に見舞われ、2試合が翌週に延期。この日唯一行われた日体大と明治学院大の2回戦は終盤までロースコアの接戦となった。この試合で輝きを放ったのが日体大の先発・寺西成騎(3年・星稜)だ。

 伸びのある速球とキレのある変化球を武器に、この秋最長となる7回を投げ切り、明治学院大打線に得点を許さなかった。この日の投球について「丁寧に投げられたのが一番の要因」と分析した寺西。「ヒットは打たれたんですが、三振もイニングと同じぐらい(7個)取れているし、内容的には良かったと思います」と振り返った。

 前週に行われた東海大との3回戦では5回途中から登板。最後まで投げ切って勝利投手となっているが、最終週に向けての1週間で制球力を磨いてきた。

「力も大事ですが、コントロールをもう1回見つめ直そうと思って、キャッチボールから低めに行くように意識して取り組んできました」と話し、1四球という結果に「その成果が出たかなと思います」と手応えを感じている。

 古城隆利監督も「球が若干高いかなというところで、連打された場面もありましたけど、粘って投げてくれました。先頭をしっかり押さえていたところは良かったと思います」とこの日の寺西の投球を評価した。

 寺西は中学時代にU15侍ジャパンに選出されるなど、早くからその才能を発揮してきた。星稜高では1年夏の甲子園で143kmをマーク。将来を期待されたが、2年夏に肩を痛めてしまう。

 3年時に手術を受けると、日体大入学後もリハビリは続いた。3年間に及ぶ長期のリハビリとなったが、寺西は「大学4年間のうち、2年までリハビリ、3年から投げると自分の中で決めていました。もちろん悔しかったですけど、3年ですぐ試合に出られるように頑張ろうと思ってリハビリに取り組んでいました」と復帰の時期を明確にイメージしていた。

 その言葉通り3年生となった今春、待ちに待ったリーグ戦デビューを飾ると、5勝0敗、防御率0.31と向かうところ敵なし。チームをリーグ優勝に導くと同時に、最高殊勲選手、最優秀投手のタイトルを手にした。

 その勢いのまま、6月に行われた大学選手権では東農大北海道オホーツクを相手に6回1失点で勝利投手。大学での全国大会デビューも果たした。

雌伏の時を経て


 迎えた今秋のリーグ戦では、9月にできた指先のマメの影響で途中降板を余儀なくされるなど、前週まで5試合に登板して1勝2敗と、結果が伴わないシーズンとなっていた。

 しかしここにきて「投げ込みと走り込みで数をこなし、自分の限界を上げることを意識して取り組んできた」と話す夏場の練習の成果が表れ始めたと実感している。

「球の威力は自分の中でもしっくりきていますし、自分の中でスピードも変化球も、良くなっているというのはあります。イニングも今日は7回まで投げられたので、この先もどんどん増やせたらなと思っています」とさらなる進化を見据えている。

 古城監督は今季の寺西について「復帰後の春は結構ピタッと抑えられたんですが、秋はだいぶ苦戦しているので、なぜそういう結果になっているのかというところもしっかり自己分析して修正してほしい。1試合の結果に満足せずに、さらに上を目指してもらいたい」と話す。

 その上で、「ケガから復帰までの間、地道にコツコツ取り組んできた結果が、ケガをする前よりポテンシャルも上がっているという成長につながっていると思います。厳しい時期を乗り越えて今がありますので、結果ではなくプロセス重視で、しっかりと階段に登るように頑張ってほしい」と期待を寄せる。

 前日の勝利で2位以内が確定し関東地区大学選手権の出場権を手にした日体大。この日試合がなかった筑波大との優勝争いは決定戦にまでもつれ込む可能性が残っている。

「去年の秋は横浜(関東地区大学選手権)で負けているので厳しい戦いにはなると思いますが、(今春の大学選手権で対戦した)明治などの強いチームにリベンジするためにも、まずは優勝決定戦で筑波に勝てるようにやっていきたい」と寺西。

 雌伏の時を過ごし、輝きを増した右腕の今後が楽しみだ。
文&写真=新田あつし
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