週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】「明治の連勝を防ぎたい」 法大対明大2回戦で見た「対校戦」の醍醐味

 

4位・法大が見せた意地


法大は明大2回戦で逆転勝ちした。6イニングのロングリリーフで勝利投手となった塙[右]と、4回に逆転適時三塁打を放った武川[左]が殊勲者となった[写真=福地和男]


[東京六大学秋季リーグ戦第7週]
10月22日(神宮)
法大9-5明大(1勝1敗)

「対校戦」の醍醐味を見た。

 85年ぶりのリーグ4連覇の可能性を残す明大に対し、法大はすでに4位が確定していた。

 法大としては、目標を失いかねない状況。それでも、モチベーションが下がらないのが、東京六大学の伝統である。明大1回戦は2対5で落とした。シーズンを象徴するかのように、投打で精彩を欠いた試合内容だった。

「明治の連勝を、防ぎたいと思っている」

 加藤重雄監督は明大1回戦の敗退後、2回戦に向けて意気込みを語っていた。明大は連勝すればV戦線に残る星勘定。法大としての意地を見せるには、格好の舞台であったのである。

 ところが、立ち上がりから劣勢の展開を強いられる。先発の左腕・尾崎完太(4年・滋賀学園高)が初回に打者一巡の猛攻を受けて4失点で降板。2回にも追加点を奪われ、序盤で5点ビハインドと苦しい状況となった。

 このまま抵抗なく終わってしまえば、何も残らない。法大は4回表、打者10人の攻撃。長短7安打6得点で大逆転に成功した。8回表にも3点を加え、9対5で雪辱し、3回戦へと持ち込んだ。4対5の一死二、三塁から逆転の適時三塁打を放った一番・武川廉(3年・滋賀学園高)は試合後、こう話した。

「尾崎さんは高校の先輩。この秋は苦しいシーズンが続いている。尾崎さんに黒星をつけるわけにはいかないのが、個人的な思い。チームがつないでくれたチャンスで、タイムリーを打つことができて良かったです」

勝ち点をかけた3回戦


 リードを奪えば、ベンチの選択肢は一つ。加藤監督は最も信頼を寄せるリリーバー・塙雄裕(4年・常総学院高)に4回裏から、三番手の救援マウンドを託した。塙は今秋、13試合中12試合目の登板。交代直後の4回裏にピンチを迎えたが、明大のポイントゲッターである三番・宗山塁(3年・広陵高)、四番・上田希由翔(4年・愛産大三河高)をいずれもフォークで空振り三振に仕留めた。明大の反撃ムードを食い止め、塙は9回まで自己最長の6イニングを無失点で投げ切った。リーグ戦通算4勝目は、魂の88球であった。

「4回のピンチでテンションが上がり過ぎて、(5回以降に)戻るかと思いましたが、終始、気持ちが入っていました。1イニング、1イニング、必死に抑えました」(塙)

 リーグ戦は終わっていない。勝ち点をかけた3回戦が23日に控える。V争いとは無縁のカードだが、3年生・武川は力を込めて言った。

「明治とは来年も、ライバルとして戦っていく相手。明治には負けたくない。来年以降につながるゲームにしたい」

 1勝1敗のタイにしたに過ぎず、喜ぶのはまだ早い。明大は優勝の可能性が消滅したとはいえ、勝ち点勝負の3回戦に総力戦で臨んでくるはず。シーズントータルの結果も大事だが、各校は対戦5カードとの「対校戦意識」が根づく。法大として今季3つ目の勝ち点挙げて、初めて存在感を示す形となるのだ。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング