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愛すべき助っ人たち

キャリアハイでは監督に「今日は寝ていていいよ」西武の“オリエンタル・エクスプレス”郭泰源【愛すべき助っ人たち】

 

2リーグ制の外国人投手“最多勝”


“オリエンタル・エクスプレス”の異名をとるほど快速球を誇った郭


 1982年のリーグ優勝、日本一に始まった西武の黄金時代。当時のチームメートたちの多くが「最速」と語るのは台湾から来た郭泰源だった。司令塔の伊東勤は「とにかく速い。最初に(投球を)受けたときも、こんな投手がいるのかと衝撃を受けた」と語れば、同じ右腕の渡辺久信は「僕が一番、速い球を投げると思っていた。郭泰源の球を見るまでは」と脱帽。また伊東が「(郭が)調子がいいときなら、ほとんどミットを動かさなくてよかった」と振り返るほど、制球力も抜群。異名の“オリエンタル・エクスプレス”は、まさに言い得て妙だった。

 来日1年目の85年からノーヒットノーランを達成する離れ業を見せてリーグ優勝に貢献。初めて規定投球回に到達したのは87年だったが、翌88年まで2年連続13勝で、それぞれ4敗、3敗と貯金を荒稼ぎして西武のリーグ3連覇を支えた。故障との闘いもあったものの、91年には完全復活。森祇晶監督に「今日は寝ていていいよ」と言ってマウンドに上がることもあったという。「投げていても楽しいし、次の登板が待ち遠しかった。技術的にも精神的にも一番、脂が乗っていたころですね」と郭は振り返るが、数字は15勝6敗、リーグ3位の防御率2.59と無冠ながらも、ライバルの近鉄は7勝1敗、防御率0.78と、ほぼ完璧に抑え込んだ。後半には9連続完投勝利もあって、西武は猛追する近鉄を振り切ってリーグ2連覇。郭はMVPに輝いている。

 翌92年も14勝4敗と貯金を稼いで西武もV3。ただ、その後は故障に苦しむことも多くなり、西武がリーグV5を達成した94年の13勝が最後の2ケタ勝利となる。それでも翌95年は8勝ながらリーグ2位の防御率2.54と安定感を見せたが、その後は勝ち星なく、97年に現役引退。97年は引退試合が唯一の一軍登板だった。

 西武ひと筋13年、通算117勝はチームの外国人投手で“最多勝”。同時に、これは2リーグ制となってからの外国人投手としても“最多勝”となる。また、故障への不安もあって三振にこだわらない、打たせて取るピッチングが身上だったが、通算1069奪三振もチーム助っ人の“最多奪三振”だ。

写真=BBM
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