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巨人の外野レギュラーは白紙…「FA移籍組」の丸佳浩、梶谷隆幸が正念場に

 

外野は熾烈な争いに


今季は11年ぶりに規定打席に到達できなかった丸


 巨人がV奪回に向け、阿部慎之助監督の下で新たなスタートを切った。

 来季に向けての新布陣。輪郭は見えつつある。遊撃に門脇誠、三塁に坂本勇人、一塁に岡本和真をレギュラーで固定する方針で、二塁・吉川尚輝も常時スタメン出場するパフォーマンスを見せてもらわなければ困る選手だ。内野は定位置が固まっている一方、外野はすべてのポジションで熾烈な競争が繰り広げられる。今季ブレークした秋広優人、ベテランの長野久義、強打が持ち味のアダム・ウォーカーに加え、若手の浅野翔吾萩尾匡也岡田悠希が台頭してきている。重信慎之介松原聖弥オコエ瑠偉も身体能力は誰もが認めるだけに、突き抜ける存在になれるか。そして、正念場を迎えているのが「FA移籍組」の丸佳浩梶谷隆幸だ。

 丸は悔しいシーズンとなった。今季は守備の負担を考慮し、中堅から右翼にコンバートされたが春先から打撃の状態が上がらず、コンディション不良でスタメンを外れることも。体の強さに定評があったが故障に度々見舞われ、広島時代の2012年以来11年ぶりに規定打席に到達できなかった。121試合出場で打率.244、18本塁打、47打点と不本意な成績に。13年以来10年連続100安打以上打ったが、今季は94安打で記録が途切れた。

チャンスメーカーとして存在感を示した梶谷


今季は復活へのきっかけをつかんだ梶谷


 一方、梶谷は復活に向けて光が見えた。102試合出場で打率.275、2本塁打、19打点。100試合以上出場したのはDeNA在籍時の20年以来3年ぶりだった。同年オフに巨人にFA移籍後は、ケガとの闘いだった。21年は61試合出場で打率.282、4本塁打、23打点。故障が相次いで常時試合に出場できない。復帰を目指していた9月に腰痛を発症し、10月に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた。リハビリからの復活を目指した昨年だったが、3月に痛みを覚えた左膝の状態が思わしくなく、5月に左膝内側半月板の縫合手術を受けて一軍出場なしに終わった。育成契約から再スタートを切った23年。レギュラーを奪い返すまでは至らなかったが、開幕前に支配下昇格し、チャンスメーカーとして存在感を示した。

 今季限りで打撃チーフコーチを退任した大久保博元氏は週刊ベースボールのコラムで、梶谷の働きぶりを高く評価していた。

「彼が一軍に入ってきたことで、攻撃のバリエーションが増えました。攻守走とも優れた選手です。彼の一番の特長というか、ベテランの良いところは、監督の意向を理解して作戦を遂行してくれることにあります。当然、監督が作戦を立てるときには、2手、3手先を考えてサインを出すわけですが、それをしっかりと理解して打席に入るわけです。そこで信頼関係が出来上がっているので、監督と選手の間に何のストレスもなくプレーが成立する。例えば、送りバントのサインを出したときに、1球目で成功させることで、流れを切ることなく攻撃が展開できます。それを知っているからこそ、一発で決められる準備ができている。それが梶谷という選手でもあります」。

V奪回へは必要な存在


 梶谷は坂本と同学年の「88年世代」、丸は菅野智之中田翔小林誠司と同学年の「89年世代」だ。各球団で若返りが進む中で、かつて球界を代表する選手として活躍した2人がもう一花咲かせられるか。スポーツ紙記者は「丸はまだまだ攻守の中心選手として稼働してもらわなければ困る選手です。阿部新監督の期待は当然大きい。梶谷はコンディションが万全なら結果を出せることを証明している。ケガは不可抗力の部分がありますが、シーズンを完走できるかがカギを握る」と期待を込める。

 若手の力だけではV奪回は成し遂げられない。丸、梶谷はレギュラーが保証されていない立場となったが、もう一花咲かせてほしい。

写真=BBM
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