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中田翔が中日入団へ 他球団から「優勝争いのダークホース」警戒の声が

 

今オフに契約を解除


巨人を退団し、中日への入団が決まった中田


 巨人を自由契約になり去就が注目されていた中田翔が、中日に入団することが決まった。

 中田は今季92試合出場で打率.255、15本塁打、37打点をマーク。春先は打撃好調で岡本和真の後を打つ五番で奮闘していたが、度重なる故障が影響して調子を落とした。遊撃のレギュラーをつかんだ門脇誠の台頭で坂本勇人が三塁に、岡本和が一塁に回ったことで後半戦はスタメンでの出場機会が減少。昨オフに巨人と3年契約を結んだが、1年ごとに契約の見直しや破棄ができるオプトアウトの条項がついており、今オフに契約を解除。出場機会を求め、他球団での現役続行を希望していた。

 中日にとっては、補強ポイントに合致する一番欲しい選手を獲得したと言えるだろう。中田は広い札幌ドームを本拠地に置く日本ハムで2020年に自身最多の31本塁打をマーク。タイトル獲得は1本差で浅村栄斗(楽天)に及ばなかったが、3度の打点王を獲得している。札幌ドームより本塁打が出にくいバンテリンドームだが、パワーと技術を兼ね備えた四番としてプライドがある。修羅場を潜り抜けてきた経験は必ず生かされるだろう。

 中日の今季390得点は4年連続リーグワースト。チーム打率.234、71本塁打もいずれもリーグワーストだった。岡林勇希大島洋平という球界を代表するチャンスメーカーを擁しながら本塁が遠い。その要因が中軸の打撃不振だった。新加入した助っ人外国人選手たちが機能せず、ビシエドも91試合出場で打率.244、6本塁打、23打点で規定打席に届かなかった。「四番・一塁」で計算できる中田の加入は大きなプラスアルファになる。同じ右打者でまだまだ成長途中の和製大砲・石川昂弥にとっても良きお手本になるだろう。

積極的に補強する中日


 得点力強化に向け、今オフは積極的に補強へ動いている。中島宏之上林誠知山本泰寛板山祐太郎の獲得に続き、中田の加入で生え抜きの選手たちも危機感が芽生えるだろう。他球団の首脳陣は「来季は強いチームに生まれ変わる可能性が十分にある」と警戒を強める。

「中日はもともと弱いチームではない。先発、救援と投手陣はそろっているし、得点力が上がれば優勝争いのダークホースになる陣容です。中田は故障さえなければ打撃タイトル争いに絡める強打者です。外野は岡林、大島、今季ブレークした細川成也が基本形ですが、ここに上林が加わることで競争が熾烈になる。中島は代打の切り札として怖い存在です。野手の選手層が一気に厚くなり、起用法の選択肢が増える。厄介な相手になりそうです」

オリックスのように……


 得点力が上がれば、投手の心理的負担が軽くなるというメリットが生まれる。今季は得点が入らず膠着状態の投手戦が多かった。「1点も入れられたくない」という重圧で投げ続ける先発陣の精神的負担は計り知れない。柳裕也は4勝11敗、防御率2.44、高橋宏斗は7勝11敗、防御率2.53と好投しながら報われない登板が多く、打線の援護に恵まれれば白星と黒星の数字が逆でも決して不思議ではなかった。

 打力が上がったことで前年の最下位からリーグ優勝に上り詰めたチームが、今年リーグ3連覇を飾ったオリックスだ。20年はリーグワーストの442得点、502失点で借金23の2年連続最下位に沈んだ。翌21年は2年連続首位打者を獲得した吉田正尚(現レッドソックス)のほか、中嶋聡監督が中軸で抜擢した杉本裕太郎が打率.301、32本塁打、83打点と本塁打王を獲得して大ブレーク。宗佑磨紅林弘太郎ら「中嶋チルドレン」もレギュラーに定着し、チーム総得点は551と100点以上増えた。500失点は前年とほぼ変わらず、得点力の大幅アップが覇権奪回につながった。

 長年低迷している中日に必要なのはカンフル剤だ。中田に掛かる期待は大きい。

写真=BBM
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