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【大学野球】小宮山悟監督が早大の特別な背番号「11」を新3年生右腕・伊藤樹に託すことを決断した理由

 

「期待が大きいからです」


早大・伊藤樹は3年生となる今春、リーグ戦5勝以上を目標とする[写真=BBM]


 早大の「11」は特別な背番号である。就任6年目の小宮山悟監督は今春から151キロ右腕・伊藤樹(新3年・仙台育英高)に伝統のエースナンバー託すことを決めた。

「3年生に着けさせるのは、どういうことなのか……。期待が大きいからです」

 伊藤樹は2年秋にリーグ戦初勝利をマークし、チーム最多4勝を挙げた。先発、抑えでフル回転し、防御率1.99と主戦級の働きを見せた。規定投球回数に到達したのは初めて。小宮山監督は「ボールが明らかに違う」と、入学時から潜在能力の高さは折り紙つきだが、実績という点では物足りないのが実情だ。従来、背番号11は複数シーズンの活躍により、チームの信頼を得て、初めて任される。期待値を込めて、とは異例の抜てきであった。

 なぜ、小宮山監督は決断したのか。

「行き着くのは、(1960年秋の)早慶6連戦なんですよ。安藤(元博)さんの踏ん張り(6試合中5試合で先発完投し、早大が逆転優勝)。投げ続けた安藤さんを目指して頑張れ!! と。樹にはどこか、甘いところがあるんです。2年秋までの16をそのまま着けさせるよりも、ピリッとしてもらいたいという判断です」

 指揮官の思惑に、応えようと自覚十分だ。

「昨年に着けた加藤(孝太郎)さん(JFE東日本)の姿、今まで着けてきた先輩方もいる。早稲田が大事にしてきた価値ある番号を着ければ、自分のためもなる。ただ、11を背負う以上は、それ相応の結果を残さないといけない。責任感、プレッシャーがかかる」

 2020年秋以来のリーグ優勝へ導く上で目標は明確だ。

「勝利数を第一にやっている。5勝以上。タイトル(ベストナイン、最優秀防御率)も意識し、イニング数、防御率と目に見えて分かる数字にこだわっていきたいと思います」

 秋田県三郷町出身。

 年末年始は帰省した。2024年の練習始動日となった1月5日の取材冒頭では「地元で過ごすと、東京に戻ってからもしばらく(方言が)出るんです。取材中、秋田弁が出てしまったらすみません(苦笑)」とはにかんだ。朴訥な東北人は今春、殻を破りそうな気配が漂う。

文=岡本朋祐
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