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V奪回狙う巨人の秘密兵器 「他球団のドライチと遜色ない実力派左腕」は

 

起用法の幅が広い即戦力


ドラフト2位指名を受けてHonda鈴鹿から巨人へ入団する森田


 巨人が昨秋の支配下ドラフトで指名した5人は、いずれも大学・社会人卒だった。チームの中心として稼働していなければいけない20代中盤の選手たちが伸び悩んでいる背景を考えると、このドラフト戦略は決して間違っていないだろう。

 その中で、2位指名したのが26歳左腕の森田駿哉だった。「ここまで評価していただけるとは思っていませんでした。選ばれるのか、不安な気持ちはありましたが、大学時代を含めても、今シーズンは手応えを感じたシーズンでしたので、期待をして待っていました」と振り返る。

 他球団のスカウトはこう評する。

「即戦力という観点で言えば、1位指名された大卒の投手陣と遜色ないでしょう。実際に2位以降で他球団も指名を検討していたと聞きます。キレ味鋭いスライダーはプロの舞台でも十分に通用する。先発、中継ぎと起用法の幅が広く、厄介な投手になりそうです」

社会人5年目に花開く


 森田はかつて、世代を代表する左腕だった。その名を全国に轟かせたのが、富山商高で甲子園出場した3年夏だった。初戦の日大鶴ヶ丘高戦で完封勝利を飾り、2回戦の関西高戦でも1失点完投勝利を挙げた。3回戦の日本文理高戦は敗れたが7回1失点と抜群の安定感だった。巨人でチームメートになる同学年の岡本和真岸田行倫高橋光成(西武)、栗原陵矢(ソフトバンク)と共に高校日本代表に選出されると、U-18W杯の決勝・韓国戦に先発して8回1/3無失点の好投を見せた。

 プロ志望届を出さず法大に進学。「4年後はドラフト1位の有力候補」と将来を嘱望されていた。1年春の開幕戦・慶大戦で先発に抜擢され、6回無失点でリーグ戦初登板初勝利と鮮烈なデビューを飾るが、ここから試練が続く。左ヒジ痛を発症し、2年冬に患部を手術。リハビリ生活を経て4年春に復帰したが、本来の状態に程遠かった。法大ではリーグ戦通算1勝のみ。Honda鈴鹿に入社後は復調の兆しを見せていたが、大卒2年目のドラフト解禁年も指名がかからず。年齢を重ねるとプロ入りは遠ざかるが、入社5年目の昨季に花が開く。チームは都市対抗の予選で敗退したが、トヨタ自動車の補強選手として先発で2勝をマーク。優勝に貢献し、優秀選手に選出された。9月のアジア大会でも日本代表で銅メダル獲得に貢献したことで、プロのスカウトの注目が再び集まるようになった。

年齢は「気にしていない」


 26歳という年齢がクローズアップされるが、森田に気負いはない。「年齢に関しては、周りから言われることもありますが、気にしていません。オリックスの阿部(阿部翔太)さん、昨年のドラフトでは巨人の船迫(船迫大雅)、中日では福永(福永裕基)と大卒社会人出の先輩、同級生が活躍している。自分も良いきっかけになればと考えています。ホンダ鈴鹿の代表としても投げていきたい」と週刊ベースボールのインタビューで語っている。

 日本生命からオリックスにドラフト6位でプロ入りした阿部は当時28歳。球団新人最年長での入団だった。キレのある直球に多彩な変化球、抜群の制球力でプロ2年目の昨年にブレークする。44試合登板で1勝0敗3セーブ22ホールド、防御率0.61をマーク。今季も49試合登板で3勝5敗1セーブ21ホールド、防御率2.70と救援陣の屋台骨を支え、リーグ3連覇に貢献した。巨人でチームメートになる同学年の船迫も1年目の昨季36試合登板で3勝1敗8ホールド、防御率2.70をマーク。その存在は森田にとって大きな刺激になるだろう。

 球団の期待は大きい。与えられた背番号は「47」。通算224勝をマークした工藤公康、救援で9年連続60試合以上登板して273ホールドを挙げた山口鉄也(現巨人二軍投手チーフコーチ)ら偉大な先輩が着けてきた背番号を継承する。1年目からのブレークに大きな期待がかかる。

写真=BBM
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