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田中将大、坂本勇人、柳田悠岐、宮崎敏郎…明暗分かれた「88年世代」の現在地

 

 プロ野球の中心軸として多くのタレントが活躍している「88年世代」。今年で36歳とベテランの域に入るが、まだまだ元気だ。宮崎敏郎(DeNA)は昨季自身2度目の首位打者、柳田悠岐(ソフトバンク)も自身2度目となる最多安打のタイトルを獲得。坂本勇人(巨人)は衰えが見られず、今季は三塁のレギュラーで活躍が期待される。メジャーでは前田健太がツインズからタイガースに移籍。若手が多い先発陣で良きお手本となる。

 一方、田中将大(楽天)は日本球界復帰後3シーズン連続負け越しで背水の陣に。抑えとして稼働してきた増田達至(西武)も昨季は不本意な成績に終わった。上記の選手以外も澤村拓一石川歩(ロッテ)、大野雄大(中日)、秋山翔吾會澤翼(広島)、梶谷隆幸(巨人)、石山泰稚(ヤクルト)と、この世代はチームの中心選手がズラリ。まだまだ若手には負けられない。

日本球界復帰後、不本意な成績が続く田中


・田中将大(楽天)
※昨季成績24試合登板、7勝11敗、防御率4.91
※NPB通算成績247試合登板、119勝67敗3セーブ、防御率2.66
※MLB通算成績174試合登板、78勝46敗、防御率3.74

 日本のエースとして輝いていた右腕が野球人生の岐路を迎えている。昨季は大量失点でマウンドを下りるなど不安定な投球が目立ち、自己ワーストの防御率4.91。15被本塁打はリーグワーストだった。球団創設初の日本一を飾った13年に24勝0敗1セーブ、防御率1.27と圧巻の成績を残し、名門・ヤンキースでも6年連続2ケタ勝利をマーク。21年に日本球界復帰後のパフォーマンスに誰よりも納得していないのは田中自身だろう。日米通算200勝まで残り3勝。大記録を通過点に、輝きを取り戻せるか。

昨シーズン終盤から三塁にコンバートされた坂本


・坂本勇人(巨人)
※昨季成績116試合出場、打率.288、22本塁打、60打点、2盗塁
※NPB通算成績2101試合出場、打率.291、288本塁打、1004打点、162盗塁

 高卒2年目から不動の遊撃として活躍してきたが、近年は故障での離脱が目立った。だが、昨年は開幕から極度の打撃不振でスタメン落ちを経験も、見事に復活。2019年以来4年ぶりの20本塁打をクリアし、攻守で不可欠な存在であることを証明した。昨年の終盤から三塁にコンバートされたことで体の負担が軽減された。「三塁・坂本」で新たな歴史を紡ぐ。残り679本の通算3000安打は達成可能な数字だ。

昨年は2度目の最多安打を獲得。柳田の打撃は健在だ


・柳田悠岐(ソフトバンク)
※昨季成績143試合出場、打率.299、22本塁打、85打点、1盗塁
※NPB通算成績1398試合出場、打率.313、260本塁打、885打点、159盗塁

「超人・ギータ」の魅力は常人離れしたプレーだ。難しい球をスタンドに放り込み、球場をどよめかせる。ミート能力も非常に高い。昨季はシーズン終盤まで首位争いを繰り広げ、163安打を積み上げて最多安打のタイトルを獲得した。ソフトバンクの黄金時代を支えてきただけに、21年以降はリーグ優勝から遠ざかっていることが一番悔しい。昨季通算1500安打を達成。故障がなければ、大記録まで安打を積み重ねるだろう。

昨年は自身2度目の首位打者を獲得した宮崎


・宮崎敏郎(DeNA)
※昨季成績124試合出場、打率.326、20本塁打、71打点、1盗塁
※NPB通算成績1081試合出場、打率.304、138本塁打、480打点、1盗塁

 大学、社会人を経て24歳でプロ入り。「88年世代」では遅咲きの部類に入るが、巧みなバットコントロールで広角に安打を打ち分ける高度な打撃技術は芸術の域だ。昨年は2017年以来6年ぶり2度目の首位打者を獲得。三塁の守備でも2度目のゴールデン・グラブ賞を受賞するなど、全盛期が続く。球界を代表する安打製造機は入団以来11年間、リーグ優勝の美酒を味わったことがない。今年は大きな目標を叶えたい。

昨年はケガで1試合の登板のみ。今季復活をかける大野


・大野雄大(中日)
※昨季成績1試合登板、0勝1敗、防御率0.00
※NPB通算成績228試合登板、84勝87敗2ホールド、防御率3.02

 この左腕の復活なくして、チームの上位浮上は望めない。昨年は4月に左肘の遊離軟骨除去手術を受けたため登板は1試合のみに終わった。2019、20年に2年連続最優秀防御率を受賞し、リーグトップの投球回数を3度記録するなどタフネス左腕で知られる。20年オフはFA宣言すれば争奪戦と言われていたが、残留を決断。チームを思う気持ちは誰よりも強い。リハビリ生活を経て、今季に完全復活を目指す。

通算200セーブに残り6と迫る増田


・増田達至(西武)
※昨季成績40試合登板、4勝4敗19セーブ6ホールド、防御率5.45
※NPB通算成績547試合登板、31勝38敗194セーブ106ホールド、防御率3.01

 昨年は右肩のコンディション不良で出遅れた影響で春先は状態が上がらず。7月は復調の兆しを見せたが、8月は痛打を浴びる登板が目立ち9月以降は登板機会がなかった。通算194セーブは球団最多。増田は抑えのマウンドが良く似合う。西武は投手陣が安定しているだけに、守護神が稼働できるかがチームの命運を大きく左右する。今年は30セーブがノルマだ。

写真=BBM
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