週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

一軍未登板も高橋宏斗、山下舜平大超える逸材? 他球団から「見たことがない球質」

 

191cmの長身サウスポー


今季、一軍デビューが期待される羽田


 投手タイトルを総ナメにしてきた山本由伸が、オリックスからドジャースにポスティングシステムで移籍。後継者として期待が大きいのが山下舜平大だ。一軍デビューを飾った高卒3年目の昨季は山本、宮城大弥と左右の両エースがWBCに出場したため、開幕投手に抜擢された。春先から安定した投球を続け、16試合登板で9勝3敗、防御率1.61の好成績をマーク。新人王を獲得した。シーズン終盤に腰椎分離症で戦列を離れたが、シーズンを完走していたら2ケタ勝利は確実にクリアしていただろう。

 2年連続最下位からの浮上を狙う中日高橋宏斗も、底知れぬ可能性を秘めた右腕だ。昨年の3月にメンバー最年少の20歳でWBCに出場。決勝・アメリカ戦に救援登板するなどリリーバーで世界一に貢献した。シーズンは7勝11敗、防御率2.53。打線の援護に恵まれない登板が多く、勝敗が逆の数字でも決して不思議でなかった。課題の立ち上がりを克服し、今季は絶対的エースになることが求められる。

 イキのいい若手が次々に台頭している中、今季一軍で活躍が楽しみなネクストブレーク候補は誰か。他球団のスコアラーは「西武羽田慎之介はモノが違いますね」即答する。

「191cmの長身からスリークオーターより少し横の位置から腕を振ってくる。剛速球がベースの上で伸びてくるので打者は怖さを感じる。菊池雄星(ブルージェイズ)、石井一久さん(楽天シニアディレクター)に球質で重なるが、羽田は身長が高いので2人とは違った威圧感がある。見たことがない球質ですね。まだ成長段階なのでシーズンを通じて一軍で結果を出すまでには時間がかかるが、順調に育てばすごい投手になる」

 高卒2年目の昨季はイースタン・リーグで8試合登板し、1勝2敗、防御率2.15。左肩痛で後半戦は1試合登板のみだったが、昨年10月のフェニックス・リーグでも登板した。150キロを超える直球、スライダーで打者をねじ伏せ、松井稼頭央監督の評価は高かった。

あえて高卒プロを目指して


 規格外のポテンシャルに肉体が追いついていない点は、令和の怪物・佐々木朗希(ロッテ)と重なる。八王子学園八王子高で2年の秋季大会中に左肘の骨膜炎を発症。3年の春季大会は「20球以内、変化球も制限」という制限の下で登板したが、最後の夏は左肘の骨髄浮腫で1球も投げられなかった。西東京大会5回戦・狛江高戦に1点差を追いかける9回裏二死一、二塁で代打出場したが、中直に倒れて最後の打者に。勝ち上がれば準々決勝以降で登板の予定があったが、幻に終わった。

 進路が注目される中、プロ志望届を提出。基本的な方向性を決めた2年秋がターニングポイントだったという。安藤徳明監督は「ケガが多く、指導者側としても『大事に育てよう』『将来があるから』と慎重になる。でも、本人もどこか、甘い部分があった。進路に際しても、大学を経由して、社会人など漠然とした目標に過ぎない。ここであえて、高卒でプロを目指さないかと、言いました。当然、人並み以上の努力をしないといけない。そこで、羽田に物足りなかった厳しさ、自覚が出てきたと思います」と週刊ベースボールの取材で語っている。

次世代のエースに


 ドラフト4位で入団した西武とは深い縁で結ばれている。羽田は埼玉県所沢市出身。本拠地のベルーナドームは車で20分以内の近所で、小さいころから西武の応援で球場に足を運んでいた。小学校時代はライオンズジュニアに選出され、背番号は「18」。西武の次世代のエースにふさわしい左腕だ。

 先発陣は高橋光成平良海馬今井達也隅田知一郎松本航のほか、2022年に2ケタ勝利をマークした與座海人、本格派右腕の渡邉勇太朗、ドラフト1位左腕の武内夏暉と質・量ともに12球団トップクラスだ。先発ローテーションを勝ち取るためには、まだまだ課題をクリアする必要があるが、一軍デビューを飾ったときに、どんな投球を見せてくれるか。V奪回に向け、「秘密兵器」になるかもしれない。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング