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FA移籍も規定打席到達なし…「巨人のリードオフマン」は完全復活できるか

 

巨人移籍後は苦しい日々


巨人移籍4年目の今季、完全復活を誓う梶谷


 若返りの波に抗えるか。巨人の熾烈な外野の定位置争いで虎視眈々とスタメン奪取を目指すのが、梶谷隆幸だ。

 メジャー通算178本塁打をマークした新外国人のルーグネッド・オドーア(前パドレス)は右翼で起用予定だが、中堅、左翼の2枠は決まっていない。実績十分の丸佳浩、昨季に頭角を現した秋広優人も熾烈な競争を勝ち抜かなければいけない。高卒2年目の浅野翔吾、大卒2年目の萩尾匡也、大卒3年目の岡田悠希、ドラフト3位の佐々木俊輔(日立製作所)ら若手だけでなく、近年伸び悩んでいる松原聖弥楽天から現役ドラフトで移籍2年目のオコエ瑠偉にチャンスがある。もちろん、梶谷も負けるつもりはない。

 俊足とパワーを兼ね備えたスケールの大きいプレースタイルで、DeNAの中心選手として活躍。巨人と4年契約を結び、FA移籍したのは21年だった。「一番・右翼」で開幕2戦目のDeNA戦(東京ドーム)で満塁アーチを放って幸先良いスタートを切ったが、5月下旬以降は左太もも裏の違和感、死球による右手甲骨折と故障での戦線離脱が相次いだ。61試合出場で打率.282、4本塁打、23打点。ここから苦しい日々が続く。10月に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けると、22年は5月に左膝内側半月板の縫合手術を受けて一軍出場なしに終わった。昨年は育成契約から再スタート。心が折れそうになったことは何度もあったはずだが、責任感の強い男は悲壮感を表に出さずリハビリに打ち込んだ。

 野球評論家の川口和久氏は昨年2月に週刊ベースボールのコラムで、こう振り返っている。

「一番興味深いなと思ったのが、梶谷だ。俊足強打の外野手としてDeNAで大活躍し、巨人にFAで移籍したが、ケガばかりでまったく貢献できず、今年はヒザの手術もあって育成に格下げになった。果たして今、どんな心境なのか、と思ったからだ。しかし、さぞや悲壮感が漂っているのかと思ったら、明るいし、元気、元気。こんなによくしゃべるんだっけと思ったくらいだ。原辰徳監督からも『おい、カジ。完治したらすぐ一軍に上げるからな』と言われているらしい。キャンプ序盤の取材だったが、『今の状態は80パーセントくらい』と言い、『あとの20パーセントももうすぐだと思います』と力強く話していた。ライトには丸佳浩が回るようなので、センター、レフトを外国人選手と競うことになるはずだ。あまりレフトは経験がないというが『練習します』と言っていたし、彼の守備力があれば、大きな問題はないだろう。バッティングは勝負強く、左の代打の切り札としても原監督が使いたい選手のはずだ」

移籍後最多出場の昨季


 昨季は大きなケガがなく、1年間プレーできたことで光が差し込んだ。移籍後最多の102試合出場で打率.275、2本塁打、19打点をマーク。外野のすべてのポジションを守り、代打でも32打数9安打で打率.281、出塁率.378と勝負強さを発揮。数字以上に貢献度は高かった。

 だが、梶谷に満足感はないだろう。FA移籍後3年間で規定打席に到達したシーズンが一度もない。今季が4年契約の最終年。スポーツ紙記者は「ケガは不可抗力の部分があるが、試合に出続ければ結果を残せる選手。チャンスメーク役は貴重な存在なのでもう一花咲かせてほしいですね」と期待を寄せる。

「88年世代」で同学年の坂本勇人は攻守の中心選手として活躍し続け、DeNAでチームメートだった宮崎敏郎も昨年に自身2度目の首位打者を獲得した。梶谷も負けられない。今年は完全復活で、存在感を示したい。

写真=BBM
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