週刊ベースボールONLINE

高校野球リポート

【高校野球】広陵高校野球部関東OB会を開催 2017年夏準V時主将はJPアセット証券野球部GMに

 

伝統である「結束力」


広陵高校野球部関東OB会に約50人が出席。卒業生のさらなる結束と現役高校生への支援を確認する場となった[写真=BBM]


 第96回選抜高校野球大会の選抜選考委員会が1月26日、大阪市内で行われ出場32校(一般選考枠30校、21世紀枠2校)が決まった。昨秋、中国大会で史上初の秋3連覇を遂げた広陵高(広島)が3年連続27回目の出場を決めた。過去に春3度の優勝。センバツ大会にめっぽう強く「サクラの広陵」と言われる。

 歓喜の翌27日。広陵高校野球部関東OB会が東京都内で行われ、約50人の卒業生が集まった。大学生から70歳台まで幅広い世代が参加。広陵高の伝統である「結束力」を見せた。

 年長者である田中伸樹さんは3年夏(1967年)の甲子園準優勝。卒業後は早大、東京ガスでプレーし、同社の監督を2期にわたり務めた。

「コロナ禍を経て5年ぶりの開催。後輩たちが甲子園出場を決め、ちょうど良いタイミングでした。新たに参加した後輩、久しぶりの顔も見ることができて良かったです」

1991年春のセンバツ優勝時の主将・山本さん[左]と息子の将人さん[右。写真=BBM]


 1991年春のセンバツ優勝時に主将を務めた山本真一郎さんは感慨深かった。

「私の息子(山本将人さん)も広陵野球部OB(背番号17の控え投手で、2年秋の明治神宮大会でベンチ入り)。今年3月に大学(武蔵大)を卒業するんですが、こうして親子で参加できる場は幸せでした。息子は河野佳(大阪ガス-広島)、石原勇輝(明大-ヤクルト)、高太一(大商大-広島)と同級生投手。今、思えば、すごい時代でしたねえ(苦笑)。今日は、世代は違っても、あの広陵のグラウンドで必死になって汗を流した卒業生同士。何か通じ合うものがあるんです。若いメンバーとも話ができて、新鮮な空間でした」

 3年連続での出場決定直後、山本さんはすぐに中井哲之監督に祝福メールを送信した。

「『新たな日本一へ向けて、頑張ってください』と送らせていただきました。毎年、メンバーが変わる高校野球だからこそ『新たな日本一』という意味です。中井先生からは『やったるわ』と返信がありました。活躍を期待します」

 1991年春のVメンバーでは当時2年生だった塩崎貴史さん(東洋大-日本石油)、篠原正道さん(早大-松下電器)も出席した。

「中井先生は本当の父のような存在です」


2017年夏の甲子園準優勝で主将を務めた岩本さん[写真=BBM]


 2017年夏。甲子園準優勝を遂げた際の主将・岩本淳太さんは広島・中村奨成、ENEOS・丸山壮史、日本通運・平元銀次郎と同級生。岩本さんは初めて同OB会に足を運んだ。

「初めて会う先輩ばかりでしたが、しっかりとあいさつをさせていただきました。若い世代にとっては、貴重な場となりました」

 広陵高では本格派右腕として期待されたが、右肘を痛め、2度の手術を受けるなど、故障の連続だった。3年春、選手として一区切りしようと、中井監督に相談するタイミングで、主将の打診があった。プレーヤーとしては力になることはできないため、運営面でサポート。背番号18の主将は中井監督から全幅の信頼を受けた。中村奨成がヒーローに駆け上がった夏、広陵高は「岩本のチーム」だった。

 3年秋にトミー・ジョン手術を受け、上武大入学後もリハビリに明け暮れた。関甲新学生リーグの登板は2試合。JPアセット証券では、入社1年目の都市対抗二次予選に登板した。投げられたのは半年のみで、その後は手術を受け、リハビリ生活。入社2年を終え、ユニフォームを脱ぐ決断をした。同社専務で野球部GMの福原俊平氏の下、GM補佐として活動しようとした矢先、福原GMが急逝。24年から岩本さんがGMとしてチームを動かす。

 昨年末、中井監督の自宅へ、現役引退とGM就任の報告をしに行った。年が明けると「良い年にしましょう。いろいろなことに挑戦してください」とメールが入った。「困ったことがあれば、いつでも連絡してこい! と言われています。小学生のときに父を亡くしており、中井先生は本当の父のような存在です」。24歳。チーム強化へ、あらためて決意を語る。

「2月10日から千葉・千倉でキャンプに入ります。一からのチームビルディングとなり、選手たちにも会社における野球部の役割、野球部としての方針を、選手にしっかりと説明していきます。2024年の目標は都市対抗初出場。今年から新たにHondaさんが参入し(二次予選は)8分の4(8チームのうちで4代表)という厳しい戦いになりますが、東京第1代表を目指して頑張ります。これから東京のチームとして活動していきますので、野球以外の面でも、この広陵のタテと横の関係をさらに大事にしていきたいと思います」

 OB会は親睦だけでなく、現役高校生の支援も目的としており、センバツに向けて強力サポートを約束。広陵の絆は、一生ものである。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング