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阪神でベンチも…「侍ジャパンに選ばれる能力」の逸材は

 

各球団で台頭する若手遊撃手


今季のレギュラー奪取を誓う阪神・小幡


 各球団で若手の遊撃手が台頭している。

 その筆頭格がリーグ3連覇に大きく貢献した紅林弘太郎(オリックス)だろう。2021年からレギュラーに定着し、昨年は127試合出場で打率.275、8本塁打、39打点、4盗塁をマーク。確実性が格段に上がり、勝負強い一撃が光った。源田壮亮(西武)という高い壁に阻まれ、ゴールデン・グラブ賞の受賞経験はないが、守備でも強肩を生かし、深いポジショニングで再三好守を見せている。村林一輝(楽天)も守備能力が高い。強肩に加えて球際に強い。課題の打撃も98試合出場で打率.256、2本塁打、32打点、11盗塁をマーク。振りが鋭くなり、変化球への対応能力が高まった。昨季盗塁王を獲得した小深田大翔と共に、チャンスメーカーとして期待が大きい。

 セ・リーグに目を移すと、最も目立ったのが門脇誠(巨人)だ。内野ならどこでもこなす安定した守備力で春先からスタメンで出場機会をつかみ、シーズン終盤には遊撃の定位置に。原辰徳前監督が坂本勇人を三塁にコンバートをできたのも、門脇の成長があったからこそ、だ。打撃も夏場以降に打率が上昇。126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁と奮闘した。

 ドラフト1位で入団し、将来を嘱望された小園海斗(広島)も殻を破りつつある。昨年は春先に打撃不振でファーム降格を経験したが、7月以降は安打を量産。得点圏打率.352と好機に強く、三番で起用されることが多かった。能力を考えれば、80試合出場で打率.286、6本塁打、31打点は満足できる数字ではない。今年は「不動の遊撃手」としてシーズンを完走できるか。昨季は打撃が低調だったが、攻守でセンスが光る長岡秀樹(ヤクルト)も巻き返しが注目される。

昨年は開幕スタメンも……


 昨年11月に開催された「アジアプロ野球チャンピオンシップ」では、小園が遊撃を守り門脇が二塁に回った。紅林はメンバーに選出されたが、左手の関節炎で出場辞退した。26年に開催予定のWBCに選ばれるショートストップは誰か――。

 ハイレベルな争いが注目される中で、スポーツ紙記者は「小幡竜平(阪神)も素質という点では決して引けを取らない。昨季は木浪聖也が大活躍したためベンチを温める機会が多かったですが、小幡も強肩でスローイングが安定している。打撃もパンチ力があり、ベンチにいるのがもったいないぐらいです。木浪から定位置を奪うような活躍を見せれば、侍ジャパン入りがおのずと見えてくる」と期待する。

 昨オフに就任した岡田彰布監督は、遊撃を守っていた中野拓夢を二塁にコンバートすることを決断。遊撃のレギュラーで当初本命視されていたのが小幡だった。自身初の開幕スタメンを勝ち取り、DeNA戦(京セラドーム)で猛打賞と最高のスタートを切ったが、4月上旬以降は「八番・遊撃」の座を木浪に譲る形に。ベンチを温める機会が多くなったが、気持ちを切らさない。代打、守備固め、代走と途中出場でチームが求める役割を果たした。1度もファームに降格することなく、一軍でシーズンを完走して47試合出場で打率.282をマーク。縁の下の力持ちとして、38年ぶりの日本一に貢献した。

一軍定着が目標の時期は過ぎた


 身長184センチの大型遊撃手には大きな可能性を抱かせる。今季はプロ6年目。同学年の小園、門脇がレギュラーで活躍している姿を見て期する思いは強いだろう。

 小幡は20年11月に週刊ベースボールのインタビューで、「できる限り一軍にいて、多くのことを学んでいきたいなと思います。常にいろいろなことを学べますので、毎日が勉強です。ただ考え過ぎると深みにはまり、思い切ったプレーができないので、そこは臨機応変に、適当な部分も作りつつ、課題を克服していきたいです」と語っていたが、一軍定着が目標の時期は過ぎた。

 木浪から定位置を奪取できるか。高い壁を越えたとき、球界を代表する遊撃への道筋が見えてくる。

写真=BBM
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