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大野雄大に先発ローテの確証なし 中日に「黄金の先発陣」予感が

 

激しい先発ローテ争い


復活に向けてキャンプで精力的に練習に励むベテランの大野


 2年連続最下位からの巻き返しを狙う中日中田翔中島宏之上林誠知山本泰寛を獲得した野手陣の奮起が期待されるが、生命線は投手を中心に「守り勝つ野球」になる。沖縄・北谷で行われている春季キャンプのブルペンは熱気に包まれている。注目されるのは熾烈な先発ローテーション争いだ。

 昨年は4投手が2ケタ黒星を喫したが打線の援護との兼ね合いもあり、決して内容が悪かったわけではない。柳裕也が4勝11敗、防御率2.44、高橋宏斗が7勝11敗、防御率2.53、小笠原慎之介が7勝12敗、防御率3.59、移籍1年目のベテラン右腕・涌井秀章が5勝13敗、防御率3.97。柳、高橋宏、小笠原の3本柱は実戦登板でよほど状態が悪くなければ、今季の先発枠が確定していると言ってよいだろう。残りの3枠を巡る競争になる。

 昨年途中加入で3勝1敗、防御率2.23と安定感を見せたウンベルト・メヒア、トミー・ジョン手術から復帰して常時150キロ以上の直球を投げ込んでいた梅津晃大のほか、若手成長株の仲地礼亜根尾昂のブレークが期待される。涌井とキャンプ二軍スタートになった松葉貴大も有力候補だ。そして、この左腕も復活してもらわなければ困る。「エース」の称号が似合う大野雄大だ。

エースとしての活躍


 2013年から3年連続2ケタ勝利をマーク。その後は苦しんだ時期があったが、19年に9勝8敗、防御率2.58で自身初となる最優秀防御率のタイトルを獲得。圧巻は翌20年だった。7月31日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)から6試合連続完投。9月15日の広島戦(マツダ広島)から45イニング連続無失点と球団新記録を更新した。コロナ禍のシーズンで120試合制だったが、高いパフォーマンスを持続して20試合登板で11勝6敗、防御率1.82をマーク。148回2/3イニングは2年連続リーグ最多で、10完投、6完封もリーグトップだった。

 最多奪三振(148)、2年連続最優秀防御率に加えて沢村賞を受賞。前年の契約更改で単年契約を結んだため、シーズン中に取得したFA権を行使するか注目されたが、中日に早々と残留を決断。新たに3年契約を結んだ。大野は週刊ベースボールのインタビューで、その理由をこう語っている。

「FA権を取得したときに見える景色というのもあると思いました。でもこの1年、投げていくにつれ、他球団の評価を聞きたいという気持ちよりも、このチームで来年も投げたいなという気持ちのほうが強くなったんです」

先発の核として稼働できれば


 21年以降も先発ローテーションの中心として稼働していたが、昨年は悔しい年に。初登板となった4月4日のヤクルト戦(バンテリン)で7回3安打1失点(自責点ゼロ)と順調な滑り出しだったが、9日の練習後に左肘の曲げ伸ばしが突然できなくなった。左肘の遊離軟骨除去手術を受けて長期離脱する。チームにとって大きな痛手だった。「本当は今年のシーズンオフに手術をするつもりでした。ただ、早まってこの時期にすることになってしまいました。チームには申し訳ないですけど、8月に戻れるように、やっていきたい。単なるリハビリじゃなく、レベルアップして戻りたい」と誓ったが、一軍復帰はならなかった。

 実績は申し分ないが、大野に先発の座が確約されているわけではない。若手との競争になるが、スポーツ紙記者は期待を込める。

「本来のコンディションに戻れば、先発の核になる。投球のクオリティーが高いのはもちろんですが、長いイニングを投げられるしタフであることが最大の魅力です。選手全員が勝ちたいと思っていますが、その中でも大野は誰よりも負けず嫌い。チームが長年低迷している現状に悔しさ、歯がゆさを感じているでしょう。今年は投手タイトルを奪取する活躍を見せて引っ張ってほしい。投手陣全体の能力はリーグ屈指だと思います。黄金の先発ローテを結成してほしいですね」

 プロ14年目、35歳左腕の新たな挑戦が始まる。

写真=BBM
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