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かつては遊撃手…阪神の剛速球右腕に、他球団が「想像以上にいい」と驚き

 

新守護神候補として高まる評価


日に日に評価が上昇している阪神の助っ人右腕・ゲラ


 投手王国の阪神だが、守護神候補の湯浅京己が本来の状態にほど遠いため春季キャンプ途中でファーム降格。昨季最多セーブ投手のタイトルを獲得した岩崎優は抑えとして十分に計算できるが、勤続疲労などを考慮すると無理はさせられない。そんなチーム事情の中で、新守護神候補として評価を高めているのが新加入のハビー・ゲラだ。

 初の実戦登板を飾った2月25日の中日戦(北谷)で最速153キロを計測。4回からマウンドに上がると先頭打者に四球を出したが、続く木下拓哉をスライダーで空振り三振に。見せ場は投球だけではない。山本泰寛に初球を投じる前に一塁へ素早くけん制。一走走者・宇佐見真吾を刺した。内野手でメジャーデビューを飾り、投手に転向した異色の経歴を持つ右腕は牽制、フィールディング能力が高い。

 他球団のスコアラーは「想像以上に良かったですね。映像で確認しましたが、牽制には相当自信を持っているのでしょう。投球も肌寒い気候にもかかわらず、153キロを計測している。ベース板に強い球が来ている印象でスピードガンの計測表示以上に迫力を感じました。制球に難があると聞いていたけど、クセのないフォームで球がバラける感じではない。リリーフで重要なポジションを託される可能性が高いでしょう」と警戒を強める。

日本で才能を開花できるか


 パナマ出身の右腕は遊撃手として、将来を嘱望されていた。パドレスに所属した2016年に球団のトッププロスペクトランキングで2位に選出される逸材だったが、打撃で確実性を欠き、19年に投手に転向。大化けが期待され、20年8月8日のダイヤモンドバックス戦では101.7マイル(約164キロ)を計測した。直球、シンカー、スライダーを操り三振奪取能力が高い。昨季はブリュワーズとレイズに所属して計17試合に登板して防御率6.05。制球力に課題があるが、日本で才能を開花させる可能性が十分にある。

指揮官は「4度目の正直」で連覇へ


 リーグ連覇に向けて現有戦力の底上げだけでなく、新戦力の活躍もカギを握る。岡田監督は選手として1985年に日本一、コーチとして03年のリーグ優勝、監督として05年のリーグ優勝、昨年の日本一と歓喜の瞬間を4度経験しているが、過去の3度は連覇が叶わなかった。週刊ベースボールのコラムで、当時についてこう振り返っている。

「まあ、今さらながら思うのは連覇することの難しさよ。それをオレは過去3度、経験している。それも現役選手、監督としてだ。1985年の日本一シーズンの翌年。86年はレギュラーとして連覇を目指したが、正直、苦しいかな、と。優勝したシーズンで選手はもういっぱい、いっぱいという感じやったからな。そらランディ・バースが2年連続の三冠王になったけど、ほかの選手は成績が急落。オレも打率を7分ほど下げていたしね。そこに掛布(掛布雅之)さんがケガで早々と離脱。戦いながら、これは無理かも……と感じていた。弱点と言われた投手力も補えず、そのシーズン、チームの勝ち頭が山本(山本和行)さんの11勝。カズさんは15セーブをマークしたが、結局、リリーフがチーム最多勝って、やはり先発が弱かったということなんよ」

「2003年のリーグ優勝は星野(星野仙一)さんの下、オレはコーチで、そのオフに星野さんが辞任。オレが監督になり連覇を、となったわけやけど、このときもチームのバランスが悪かったとの思いがあった。特に投手陣なんだが、ベテランが多くて、ここを改善しないと強いチームはつくれないと、そこに着手したわけ。だから連覇を目標にしながら、その先を見据えたシーズンとなった。期待してくれたファンには申し訳なかったけど、Bクラス4位でも、オレなりに手応えがあり、次のシーズンでは優勝を狙えるという自信をつかんだ。そのとおり、05年に優勝し、そら連覇を強く意識した翌06年シーズン。オレは優勝できると思ってたわ。05年には届かなかったけどシーズン84勝よ。十分に優勝してもおかしくない数字やのに、それの上を行くチームがいた。中日よ。ホンマ、ガックリときた。84も勝って優勝できないなんて……。それだけ連覇するのは難しいというのが分かったな」

「4度目の正直」でリーグ連覇を狙う今季、助っ人右腕のゲラは救世主になれるか。

写真=BBM
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