投打に戦力充実
今年のパ・リーグは混戦を予想する声が多い。確かに各球団の戦力は拮抗している。昨季5位に低迷した
西武はドラフト1位左腕・
武内夏暉の加入で強力な先発陣を形成。2年連続最下位に沈んだ
日本ハムもFA争奪戦を制して
山崎福也の獲得に成功し、
ドリュー・バーヘイゲンが2021年以来3年ぶりに復帰したことで、先発陣が厚くなった。
戦力アップに成功した球団がある一方で、リーグ4連覇を目指すオリックスは絶対的エース・
山本由伸がポスティングシステムを利用してドジャースに移籍。左腕・山崎も日本ハムに移籍した。先発ローテーションの柱として稼働した2人が昨年積み重ねた白星は計27勝。この穴を埋めるのは容易ではない。だが、他球団のスコアラーは違った見方を示す。
「個人的な見方ですが、オリックスは昨年より強いと思います。山本、山崎の抜けた穴は小さくないですが、力のある若手がどんどん出ている。中継ぎ陣が充実しているので、先発は5、6回をきっちり投げれば良いと逆算できる。厄介なのは広島からFA移籍した
西川龍馬です。
森友哉、
頓宮裕真とミート能力が高い選手が3人そろうので息が抜けない。得点力は間違いなく上がるでしょう。
紅林弘太郎、
宗佑磨、
中川圭太と勝つポイントを知っている選手がそろっていますし、優勝候補の最有力であることは間違いない」
チーム内で身近によきお手本
山本由伸の背中を追い続けた
宮城大弥が左腕エースに成長したように、チーム内で身近によきお手本がいるので、ハイレベルな競争が繰り広げられている。
山下舜平大、
東晃平と剛速球右腕が次々に頭角を現し、
曽谷龍平、
村西良太、
齋藤響介がネクストブレークを狙っている。育成枠の190cm左腕・
佐藤一磨も早期の支配下昇格の可能性がある好素材だ。
若手だけではない。
田嶋大樹、
山岡泰輔、
ロッテから加入の
ルイス・カスティーヨは計算が立つ。救援陣も
山崎颯一郎、
宇田川優希、
比嘉幹貴、
阿部翔太、
山田修義と充実した布陣で、守護神は日米通算250セーブの
平野佳寿が健在だ。新人で社会人出身の
高島泰都、
古田島成龍、
権田琉成が戦力になれば、さらに強固になる。
西川は大きなプラスアルファ
打線は西川の加入が大きなプラスアルファだ。難しい球をヒットゾーンに運ぶ卓越したミート能力で「天才打者」と形容されることも。広島では在籍8年間で通算打率.299をマーク。昨季は109試合出場でリーグ2位の打率.305、9本塁打、56打点、7盗塁をマークした。チャンスメーカーにもポイントゲッターにもなれる。さまざまな打順に対応できるのは、中島聡監督の「猫の目打線」の中で心強い存在だ。西川は2月下旬に週刊ベースボールのインタビューで、自身の打撃スタイルをこう分析している。
「う〜ん、なんだろう。一言で表現するのは難しいですけど、僕の中ではある程度、何でもできる自信があるんです。打順に関係なく。一番を打てと言われれば打てるし、二番でも求められることができる自信がある。カープでも一〜九番まで全部の打順を打ったことがありますから。だから『対応力のあるバッター』とでも言うんですかね。自分で言うのは何か恥ずかしいですけど(笑)。でも、自信はあるんですよ。バットが届くのなら、ある程度のボールはバットに当てられる。そういう対応力に自信があるんです」
パ・リーグでプレーするのは初めてだが、対応能力が高いので試合に出続ければきっちり成績を出すだろう。西川自身も求められている役割は理解している。
「4連覇というものは、しっかり意識していきます。今年に挑むものは、そこに尽きるので。3連覇している中で僕が入ったわけです。4連覇を逃してしまって『僕が来たから』と言われるのは、よろしくない(笑)。そのプレッシャーを活力にするだけですし、とにかく4連覇を目指して、チームの力になることです」
他球団にも意地がある。「オリックス包囲網」を敷いてくる可能性があるが、昨年、一昨年もその壁を乗り越えて頂点に立った。リーグ4連覇へ。黄金時代構築に向けて邁進する。
写真=BBM