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中日の強さは本物? 他球団から「中田翔の加入で昨年と全く違うチーム」警戒が

 

しぶとい戦いで重ねる白星


四番として勝負強さを見せている中田


 今年の中日は違う――。開幕して間もないが、しぶとい戦いぶりで白星を重ねている。

 開幕カードはヤクルトに2敗1分と白星を挙げられなかったが、本拠地・バンテリンドームで初戦となった4月2日の巨人戦で3点差をひっくり返し、サヨナラ勝利で流れを変える。勝負を決めるアーチを放ったのが、開幕から17打席連続無安打だった細川成也だった。2勝1敗とカード勝ち越しを決めると、敵地・マツダ広島で12年ぶりの3試合連続完封勝利。柳裕也涌井秀章ウンベルト・メヒアと先発陣の踏ん張りはもちろんのこと、バッテリーを組んだ加藤匠馬宇佐見真吾の貢献度も見逃せない。

 9日のDeNA戦(横浜)は中田翔がチームの全得点をたたき出す3打点の活躍で4連勝をマーク。2016年5月10日以来2891日ぶりの単独首位に立った。DeNAには立浪和義監督就任1年目の22年に6勝18敗1分、昨年は8勝16敗1分と大きく負け越しただけに、今季のポイントを握るカードで初戦に勝利したことは大きな意味がある。

 他球団の首脳陣は警戒を強める。

「もともと投手陣の能力が高いチーム。先発だけでなく、救援陣も充実しているので先制されると厳しい展開になる。打線は中田翔が四番で加入したことが大きい。軸が一本できたことで細川の負担が軽減され、三番の高橋周平も無理に長打を狙う必要がない。個々の役割が明確になったことで打線のつながりが昨年までとはまったく変わった。昨年とはまったく違うチームだと思って戦っています」

最も必要としていたピース


 2年連続最下位に沈んだ昨年は打順別の成績を見ると、四番打者が打率.238、18本塁打、64打点。石川昂弥ダヤン・ビシエドらが起用されたが期待に応えられず、最後まで固定できなかった。他球団は阪神が最多出塁率のタイトルを獲得した大山悠輔、巨人は自身3度目の本塁打王に輝いた岡本和真、DeNAは打点王、最多安打のタイトルを獲得した牧秀悟、ヤクルトは打撃不振に苦しみながらも31本塁打をマークした村上宗隆と「不動の四番」が座っているだけに、中日も核になる四番打者が必要だった。

 巨人から電撃加入した中田は、最も必要としていたピースと言える。日本ハム時代に打点王を3度獲得するなど、シーズン100打点を5度マーク。巨人では打撃フォーム改造に踏み切り、確実性を高めた。34歳とまだまだ老け込む年ではない。新天地で四番を託され、「一番は打点だよね。今までも打点にこだわってやってきた。打点は塁に出る人、進めてくれる人、すべてにおいて犠牲になってくれる選手がいる。そういうことを含めて打点にはものすごく価値を感じている。キャリアハイは当然狙いたいし、打点王も獲りたい」と自覚を口にしていた。

「打点に重きを置けば面白い」


 野球評論家の伊原春樹氏も、週刊ベースボールのコラムで中日のキーマンに中田翔を挙げている。

「3年連続の屈辱は絶対に避けなければいけない。戦力は就任1年目よりも確実にアップしている。中日のウィークポイントは誰が見ても得点力だ。昨年のチーム得点は390。12球団で唯一の300得点台だった。無得点試合は27もあったという。これでは勝てる試合も勝てなくなってしまう。オフには積極的に補強。中田翔、中島宏之上林誠知らを獲得したが、やはりカギを握るのは中田になる。広いバンテリンドームで本塁打量産は難しいかもしれないが、打点王を3度獲得している勝負強さをどれだけ発揮できるか。一発より、打点に重きを置けば面白い」

「さらに、細川成也だ。昨年、現役ドラフトでDeNAから中日へ。移籍1年目、140試合に出場し、打率.253、24本塁打、78打点と大ブレーク。今年は相手投手からのマークも厳しくなるだろうが、それをかいくぐれば本物だ。細川が“2年目のジンクス”に陥らないことも、チームの上位進出に欠かせない要素だ。投手陣は先発、リリーフとも盤石なだけに、打撃陣の奮起にすべてがかかっているのは間違いない」

 シーズンは長い。順風満帆とはいかず、試練を迎えるときがあるだろう。そのときに底力を発揮できるか。キーマンは中田だけではない。勝利に飢えた選手たちの戦いぶりに要注目だ。

写真=BBM
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