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踏ん張りどころの中日 他球団が「12球団No.1の投手」と評価する右腕は

 

2022年は自身初の最多セーブ


今季も絶対的守護神としてチームを勝利に導くマルティネス


 開幕ダッシュに成功して首位を快走していた中日だが、4月20日の阪神戦(甲子園)で今季ワーストの15失点を喫し、3連敗。大型連敗は避けたいだけにここが踏ん張りどころだ。試合の主導権を握れば、試合の最後を締める絶対的守護神がいる。来日8年目右腕のライデル・マルティネスだ。

 抜群の安定感は12球団の抑えの中でも際立っている。2020年から4年連続20セーブ以上マークし、22年は39セーブで自身初の最多セーブ投手に。昨年は9月中旬にでん部を痛めて以降は復帰できなかったが、48試合登板で32セーブを挙げ、防御率0.39は2年連続0点台と圧巻の投球内容だった。

 今季も開幕から10試合連続無失点で7セーブ2ホールド。常時150キロ台中盤を計測する直球で相手打者を圧倒するが、変化球の質も一級品だ。17日のヤクルト戦(バンテリン)では2点リードの9回に登板すると、村上宗隆をスプリット、ドミンゴ・サンタナをスライダーで2者連続空振り三振。代打・青木宣親もスライダー、チェンジアップで追い込むと、最後は154キロ直球で投ゴロに仕留めた。

 他球団の首脳陣は「12球団No.1の投手でしょう」と断言する。

「直球だと分かっていてもなかなか前に飛ばせない。150キロ近いスプリットも直球に見えるので見極めるのが難しい。スライダー、チェンジアップも決め球になるし、なかなか連打は望めない。昔は走者を背負って制球を乱すケースが見られたけど、登板を重ねることで投球の精度が上がり、動じることがなくなった。精神的にもタフだと思います」

苦戦する各球団の守護神


 野球は9回の3つのアウトを取るのが最も難しいと言われている。抑えが機能するかが各球団で大きなポイントになる。他球団を見渡すと、通算219セーブの益田直也(ロッテ)が開幕から状態が上がらず登録抹消に。昨季49試合登板でわずか5失点、防御率0.92をマークしたロベルト・オスナ(ソフトバンク)も今季はピリッとしない。17日の日本ハム戦(エスコンF)で、2点リードの延長11回に登板したが、アリエル・マルティネスに同点2ランを浴びて救援失敗するなど、11試合登板で防御率4.09と安定感を欠き、5失点と昨季の数字に早くも並んでしまった。

 昨季守護神に抜擢され、33セーブをマークした田口麗斗(ヤクルト)は春季キャンプ中盤に下半身のコンディション不良で離脱して出遅れると、3月29日の開幕・中日戦(神宮)で4点リードの9回に今季初登板したが、2安打1四球で1失点と本来の状態とは程遠い内容で、翌30日に登録抹消に。現在もファームでの調整が続いている。

レジェンドが語る抑えの難しさ


プロ野球史上最多の407セーブを挙げている岩瀬


 中日OBで現役時代に最多セーブ投手に5度輝くなど、前人未到の通算1002試合登板&407セーブをマークした岩瀬仁紀は抑えの難しさについて、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「抑えはチームの勝敗が直結するところですからね。勝っているゲームの最後を締める大事な役割。自分がチームの屋台骨を背負っているんだと、そういう気概を持って投げていました。自分は(プロ6年目に)中継ぎからの転向でしたが、抑えはやってみたいような、でも少し怖いような気持ちでいました。いざ(落合博満監督に)抑えをやれと告げられたときは、これは相当な覚悟を持ってやらないと務まらないぞと。責任がまったく違いますから。実際にやってみてそのとおりでした」

「中継ぎは自分の後ろがいる。でも抑えはいない。自分の代わりに投げてくれる投手はもういないし、いたらダメなわけです。また中継ぎのときは最後のアウトがどこか分からない。見当はついていても、投げていて『交代』と言われて初めて代わることができる。でも抑えは最後のアウトがはっきりと分かり、だからこそ難しい。その最後のアウト1つをどう奪うか。どうしても意識してしまうし、急いでしまう。自分の中ではそこを冷静に、落ち着いているように見せるのが難しかった」

 マルティネスが入団した17年以降、中日は7年間で6度のBクラスと低迷期が続いている。昨季は球団史上初の2年連続最下位に低迷し、今年は逆襲を誓う中で快進撃を繰り広げている。名実共に「日本一の守護神」になれるか。タフな登板が続くが、チームに白星をもたらすため右腕を振り続ける。

写真=BBM
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