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【高校野球】準決勝進出の東海大相模主将・木村海達が忘れられない2つのゲーム

 

あまりに高い2つの“授業料”


「二番・捕手」。司令塔の主将・木村が東海大相模高の頭脳である[写真=田中慎一郎]


【4月28日】
春季神奈川県大会準々決勝(保土ヶ谷)
東海大相模高8-5桐光学園高

 東海大相模の正捕手の主将・木村海達(3年)には、忘れられない2つのゲームがある。

 昨夏の神奈川大会準決勝。甲子園で107年ぶり2度目の全国制覇を遂げる慶應義塾高に、6回コールド敗退(1対12)を喫した。計3本塁打を浴び被安打14。1時間47分でゲームを終える屈辱感を味わった。背番号12の正捕手だった当時2年生・木村は振り返る。

「何をしても、うまくいかない。頭の中がボーッとしてしまっていた」

 昨秋の県大会準決勝。横浜高との名門校対決は、延長10回タイブレークの末にサヨナラ負け(9対10)を喫した。東海大相模高は10回表に4得点も、このリードを守り切れなかった。主将としての責任を語る。

「10回裏は1点リードで、あとアウト一つまで持ち込んだんですが、勝ち切れなかった」

 あまりに高い2つの“授業料”を払った。百戦錬磨の司令塔は「今はどんな場面でも声をかけ、周囲を見渡し、冷静にプレーできている」。東海大相模高の頭脳は、存在感抜群だ。

 広島県出身。「日本一を目指すため、相模に来ました。(合言葉である)アグレッシブベースボールは、自分に合っていると思いました。練習でも常に、日本一になるためには何が必要かを言い合っています。1球1球に重みを感じながらプレーの精度を上げてきました。投手を中心に少ない得点で守り勝つ」。

 成果を見せたのが、今春だ。桐蔭学園高との4回戦では198cm左腕・藤田琉生(3年)を6安打完封に導いた。昨秋の県大会優勝校・桐光学園高との準々決勝は点の取り合いとなったが、終始、リードする展開で最後は8対5で逃げ切った。先発の本格派右腕・福田拓翔(2年)と198cmの左腕・藤田琉生(3年)の良さ引き出し、粘りを見せる強打・桐光学園高打線を封じた。バットでも8回裏に貴重な追加点となる適時二塁打を放った。4強で夏の県大会第1シードを獲得した。

「神奈川で一番になる。この1週間で準備していきたい」。次戦(5月3日)の相手は昨秋、涙をのんだ横浜高である。東海大相模高にとって準決勝は「鬼門」。右肩に主将マークを着ける木村が、攻守のキーマンになる。

文=岡本朋祐
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