理想とは遠いもリーグ得点トップ&12球団最少失点
1位・
読売ジャイアンツ 理想からはほど遠い。打線で言えば最大の注目点であった一番が
吉川尚輝で固定できず、中軸を打つ
坂本勇人、
丸佳浩が本来のデキとはいえない。投手陣に目を移せば、クローザーのR.デラロサが故障離脱し、日替わりで代役を立てる状況にある。開幕から1カ月たたないうちに、攻撃陣にZ.
ウィーラーを、投手陣には
高梨雄平を緊急補強したことからも危機感が見て取れる。それでも開幕ダッシュに成功。一時は2位に転落したものの、再び首位に返り咲いている。打線は本来の姿ではないものの、坂本、丸が進塁打等でチーム打撃に徹し、岡本和真が四番の仕事を全うしているのも大きい。下位に置かれたG.
パーラも11打点と効いており、得点数(力)はリーグトップだ。心配された先発陣も
菅野智之が4勝、A.
サンチェス、
戸郷翔征が3勝ずつで、
桜井俊貴、
C.C.メルセデスに目途が立った。リリーフ陣の負担が気掛かりではあるが失点数は12球団最少。昨季Vの経験値も強さの根底にある。
チームは好調も山田哲の不調が気がかり
山田哲の復調はいつ……
2位・
東京ヤクルトスワローズ 開幕前の下馬評は低かったが、一番・
坂口智隆から二番・
山田哲人、三番・
青木宣親、そして四番・
村上宗隆へとつなぐ打線が機能し、現在2位をキープしている。しかし、山田哲は打率.236と絶不調。塁に出れば果敢に盗塁を仕掛け、チームトップの5盗塁などで貢献してきたが、疲労も考慮され、7月15日の
阪神戦(甲子園)から3試合連続で欠場した。だが、3度のトリプルスリーを達成した男の存在感は、たとえ不調でも生きている。例えば7月9日の
中日戦(ナゴヤドーム)では、1点ビハインドの9回、一死二、三塁で山田哲が敬遠され満塁とすると、三番を打っていた
山崎晃大朗が2点適時二塁打。存在感だけでチャンスを拡大した。一方、投手陣は21日現在、先発の完投はゼロ。全試合でブルペン陣を稼働し、
清水昇や
寺島成輝が無失点投球を続けてきたが、16日の阪神戦(甲子園)で清水が3失点。善戦を続けているとはいえ、山田哲の不調と救援陣の疲労が気がかりだ。
投打ともに絶不調も7月に入り上昇気流に
大山がスタメン四番に座ってから9勝2敗
3位・阪神タイガース
打線の要であった
近本光司とキーマンの新助っ人・
ボーアが不振。さらに自慢の投手陣も開幕から絶不調の上、中継ぎ陣が大量失点を繰り返した結果、6月は開幕3連敗を含む2勝8敗の最下位とまさかのスタート。さらに守護神の
藤川球児が2度も抑えに失敗し二軍降格。昨季の中継ぎ陣を支えた
守屋功輝、セットアッパー候補の
エドワーズなども再調整などまさかまさかの展開に。だが、7月に入るとバットでチームを盛り上げる選手が出てきた。それが
大山悠輔。7月4日の
広島戦(マツダ広島)で四番のマルテが故障し退場すると、代わりに入った大山が本塁打を含む3打数3安打。翌5日からは四番に座ると、五番・ボーア、六番・
サンズも日本の野球に慣れ始め打線が機能。さらに地元甲子園に帰り9勝2敗と盛り返し借金を返済し3位に浮上。代役で抑えに入った
スアレスも徐々に登板慣れし、中継ぎ陣も固まってきた。残りは近本の復調を待つのみといったところだ。
湿った打線、梅雨明けはいつ?
調子が上がってこないロペス
4位・
横浜DeNAベイスターズ 打線というものは生き物のように好不調の波があるものだが、7月中旬に入りベイスターズ打線は勢いを失ってしまった。トリガーとなったのは
オースティンの離脱だった。三番に座り、打率.327、3本塁打、13打点、OPS1.021とチームけん引した助っ人が7月13日にケガのため登録を抹消されると、途端に得点力を失った。7月15日の中日戦(ナゴヤドーム)から4試合で平均得点はわずか「1」。これでは投手陣が最少失点にまとめても勝利には近づかない。ビジターでの連戦を、勝ち負けを繰り返す“オセロ状態”で踏ん張っていたが、7月中旬から6連敗するなど下降線。オースティンの復帰までは時間がかかる見込みで、新たな打線の流れを構築したいところだ。救いは先発投手が試合をつくっている点。
今永昇太、
平良拳太郎、
濱口遥大、
井納翔一に加えて、ファームから
上茶谷大河、
坂本裕哉が合流すれば、計算は立つ。あとは打線のお目覚めを待つしかない。
勝ちパターンもそれ以外も安定せぬ救援陣
救援陣の崩壊には改善の兆しが見られず
5位・広島東洋カープ
打線は、開幕から積極的一番打者として快調に打っていた新外国人の
ピレラの当たりがここへきてストップ、一番・
西川龍馬、三番・
堂林翔太の形に組み変わった。それでも、堂林がプロ11年目にして覚醒し、首位打者を走れば、大黒柱の
鈴木誠也も打率、本塁打、打点ともリーグ上位につける活躍で、ここまではよく機能していると言っていい。ただ、問題は投手陣だ。現状、先発で勝ちを計算できるのは
大瀬良大地のみ。もう一人の柱のK.ジョンソンは開幕から4度の先発で勝ち星がなく、ファームで再調整となった。最大の課題はブルペン陣。当初予定の
フランスア、スコットの勝利の方程式が機能せず。クローザーに
菊池保則、その前は
塹江敦哉や
一岡竜司などで形を作ろうと模索しているが、まだ僅差のリードではあまり安心できない状態が続いている。ビハインドのゲームでの救援陣も相手の勢いを止めきれずに失点を重ねるケースが目立ち、対策が見当たらない状況だ。
かみ合わぬ投打のバランス
投手陣が完全に崩壊状態だ
6位・中日ドラゴンズ
クローザーの
岡田俊哉はヤクルトとの開幕3連戦で2セーブを挙げる最高のスタートを切ったものの、その後は不安定な投球が続いて配置転換。開幕前は期待の高かった先発陣も、開幕投手の
大野雄大がいまだ未勝利、
柳裕也は登録抹消と左右のエースで1勝どまりで防御率4.70はリーグ5位。ただ、
福敬登、
祖父江大輔の中継ぎ陣は安定している。今後は僅差の試合をものにしていくためにも、頼れるクローザーが必要。
R.マルティネスで固定できるかどうか。打線は日替わり状態が続いている。開幕から不動なのは四番の
ビシエドのみで、
アルモンテに続き、好調だった高橋周平の登録抹消が痛い。不振でスタメン落ちが続いた
平田良介も20日に二軍落ちするなど強竜打線とは、ほど遠い状態だ。高卒ルーキー
石川昂弥の起用が苦しい現状を物語っている。支配下登録されたA.
マルティネスの活躍はうれしい誤算ではあるが、故障者たちが戻って来るまでは総力戦で乗り切るしかないだろう。
写真=BBM