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順調なのは? パ・リーグ6球団1カ月の戦いを検証

 

開幕してからおよそ1カ月が経過。果たして、ここまでの戦いは想定内なのか、想定外なのか。パ・リーグ6球団を検証する。

打線と救援陣の充実で絶好のスタート


新加入の鈴木が好調を維持


1位・東北楽天ゴールデンイーグルス

 開幕から故障離脱者が出ておらず、リスクマネジメントも万全だ。ここまで打線でスタメン出場を続けるのは鈴木大地浅村栄斗島内宏明の3人のみ。DH起用で負担軽減しながら出続ける浅村は11本塁打、鈴木大は得点圏打率.429と、2人の勝負強さが際立つ。新加入の涌井秀章が開幕4戦4勝を挙げるなど、チーム防御率リーグ2位の投手陣。誤算は先発再転向の松井裕樹で、わずか2試合で先発ローテから外れた。その代役の岸孝之も不調で登録抹消と雲行きが怪しい。一方、救援陣を支えるのが助っ人トリオだ。今季は外国人5人を一軍登録でき、打線にロメロブラッシュがいるため、ブセニッツ宋家豪シャギワのうち1人を休ませながら回す。新守護神の森原康平も9試合連続無失点で4セーブと、小差の逃げ切りも可能だ。ただし、27試合中18試合がホーム開催と日程に恵まれた面もある。通常よりも短いとはいえ、まだ序盤。本当の勝負は夏場以降だ。

エースの復帰と主砲の爆発力で巻き返し


柳田の爆発力は脅威でしかない


2位・福岡ソフトバンクホークス

 開幕カードに負け越すと、以降も調子が上がらず4年ぶりの借金「3」も経験した。打線は日替わり、投手起用も試行錯誤が続く中で、雰囲気を変えたのがエースの復帰だ。当初の予定を前倒して7月7日の楽天戦(PayPayドーム)に先発した千賀滉大は、自己最速タイ161キロをマークする力投で今季初勝利。カード頭が盤石になっただけでなく、奇しくも同タイミングで故障離脱したムーアの穴を埋めることとなった。また、ファンの声援もチームを後押し。10日に有観客が始まってから、5連勝を含む8勝2敗と完全に流れを変えた。打線では主砲・柳田悠岐の爆発力が止まらない。特に7月に入ってから打率4割超、6本塁打。バレンティンの不調で後ろを打つ四番、五番が固定できないのは課題としつつも、そこは厚い選手層を駆使して状態のいい選手との入れ替えをすることで、徐々につながりが増している。相変わらずケガ人が多いのは気になるが、投打は確実にかみ合ってきている。

強力中継ぎ陣を生かす戦い方で浮上を


抑えの増田はリーグ2位の7セーブ、防御率は0.90だ


3位・埼玉西武ライオンズ

 理想的な勝ち方の一つだった。7月18日、楽天戦(楽天生命パーク)。先発の松本航は初回3点を失ったがその後、5回まで毎回走者を出しながら追加点を与えない。すると塩見貴洋の前に4回2安打無失点と抑えられていた打線が5回、山川穂高の3ラン、中村剛也のソロで逆転。6回からは平井克典宮川哲ギャレット増田達至の無失点リレーで逃げ切った。今季、中継ぎ陣は昨年よりもグレードアップした。先発陣に不安が残るが、この日の松本のように粘りの投球で打線の援護を待ち、5回まで1点でもリードしていれば6回から強力中継ぎ陣をつぎ込んで勝利を拾うことができる。チーム得点数はリーグ2位タイの127点。昨季盗塁王の金子侑司が首痛で二軍落ちし、チーム盗塁数はリーグ最下位の14だが、秋山翔吾が抜けた「一番・中堅」に鈴木将平が定着するなど落ち着きつつある。攻撃の形が固まってくれば自ずと順位も上がっていくはずだ。

開幕ダッシュ成功→停滞も打線組み換え奏功


一番の荻野は打率.330、11盗塁と好調だ


4位・千葉ロッテマリーンズ

 ソフトバンクとの開幕戦に敗れるも、翌日から連勝で勝ち越し。次カードの対オリックス6連戦まで8連勝と開幕ダッシュに成功した。FA加入の福田秀平が離脱する中、荻野貴司が打率3割超にリーグトップの11盗塁と俊足巧打で打線をけん引し、レアードマーティンの四、五番に加えて、六番・中村奨吾、七番・井上晴哉の“第二クリーンアップ”が機能。先発陣が先取点を奪われても打線で勝ちをもぎ取った。さらに井口資仁監督の起用もズバリ。レアードのバットが湿れば、井上を五番→四番と打順を昇格させ、マーティンを二番に配置。一番・荻野が出塁すれば、盗塁を警戒するバッテリーにマーティンの強打を浴びせる新たな先制攻撃パターンを確立し、開幕から好調を維持している井上が打点を稼いでいる。楽天6連戦で負け越して首位から陥落も、ベンチワークも冴えてズルズルと負け込まず。先発投手がやや不安定だが、再浮上に向けて足場を固めている。

頼みの打線が機能せず苦しい戦いが続く


苦心の采配が続く栗山英樹監督


5位・北海道日本ハムファイターズ

 開幕カードの西武との3連戦こそ2勝1敗でスタートしたが、その後の6連戦はすべて勝ち越せず。エースの有原航平も1勝止まり、復活に懸ける上沢直之は0勝、助っ人のバーヘイゲンマルティネスも思うように勝てずに苦しい台所事情が続く。さらに深刻なのはリーグワーストの打率に沈む打線。昨季は強打の二番として覚醒した大田泰示が絶不調で打率.202と低迷。また来日2年目の爆発が期待された王柏融のバットも鳴りを潜め、2人がラインアップから外れることも増えてきた。併殺打の数もリーグワーストの26と打線がつながりを欠き、何度も得点チャンスを逸している。栗山英樹監督は二番に松本剛渡邉諒らを入れるなど試行錯誤を続けているが、結果にはつながらず。さらに唯一の希望の星となっていた2年目の野村佑希もブレーク寸前のところで骨折で戦線離脱……。ブルペン陣は安定しているだけに、先発陣の奮起、主力打者の復調なくしてBクラス脱出は見えてこない。

センターラインが固まらず不安定な戦い続く


山本の好投を勢いにつなげたいが……


6位・オリックス・バファローズ

 開幕ダッシュを期して山岡泰輔田嶋大樹山本由伸の先発3本柱を楽天との開幕カードにつぎ込むも1勝2敗で負け越し。次カードのロッテ戦は6連敗を喫する最悪のスタートに。それでも、一番・T-岡田、二番・ロドリゲスの攻撃型オーダーを組み換え、3カード目の西武6連戦で勝ち越しに成功。打線が復調しつつあり、特に三番・吉田正尚、四番・ジョーンズ、五番・T-岡田、六番・ロドリゲスの並びは、ほぼ固定で強力布陣を形成している。ただ、エース・山岡泰輔が6月26日のロッテ戦で左ワキ腹を痛めて離脱、レギュラー奪取が期待された中堅の後藤駿太のバットが湿り、遊撃・安達了一も潰瘍性大腸炎で休養を設けながらの出場と、センターラインが固定できず“拙守”で勝機を逃すことも多々。加えて走塁ミスも目立つなど、最大8あった借金は減ってはいるものの不安定な戦いが続く。3勝を挙げて奮闘する山本の登板日が日曜だけに勢いも途切れ、上昇気流に乗り切れない。

写真=BBM

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